とにかく食べづらい「すすれないうどん」 実は山間のうどん屋を救った縁起物だった!【豊田市・稲武地区】

すすれないうどん

「すすれないうどんがある」とのウワサを聞きつけてやってきたのは豊田市・稲武地区。山間の町で聞き込みをすると、地元の人たちから「すえひろ家」というお店の名前が次々と挙がりました!

行列に並ばないと食べられない

大将・今泉光司さん

町の人いわく、「すえひろ家」のうどんは「噛みきらないと食べられない」「食べやすくはないけどおいしい」とのこと。そんな独特のうどんを手がけるのは、御年71歳の大将・今泉光司さんです。お店では大将の妻や息子、娘、さらには孫も手伝い。親子孫3世代でお店を切り盛りしています。

すえひろうどん

自慢の天ぷらうどんやアツアツの鍋焼きうどん、味噌煮込みうどんなどが人気という「すえひろ家」。しかし真の人気メニューは、オープン前から行列に並ばないと食べられないという「すすれないうどん」こと「すえひろうどん」です。

「末広がり」の八を追求

長さが八十八”、幅が“八”センチ

1日8食限定の「八(すえひろ)うどん」は、三角形の形をした平打ちうどんです。麺の長さはなんと88センチと超ロング! 幅は一番広い部分で8センチです。「末広がり」の八にこだわったうどんといいます。

あまりに幅広なため、お客さんから「とにかく食べづらい」と言われる始末。しかし「すえひろ家に来たらすえひろうどん」と注文するお客さんも多い人気メニューです! オープンしてわずか12分で売り切れてしまうこともあるほどと聞けば、オープン前から行列に並ぶ人たちがたくさんいるのも納得です。

うどんの食感が少しずつ変化するのも魅力に

食べるところによって食感が変化

表面はつるつると滑らかでありながら、しっかりとしたコシが特徴の「すえひろうどん」。食べ応え抜群なうえ、食べるところによって食感が少しずつ変化していくのも魅力の1つとなっています。

天日干しでじっくりと乾燥

独特の「すえひろうどん」を打っているのは製麺所を任されている三代目の息子・今泉喜規さん。創業65年、祖父から受け継いだ製法を守り続けています。今では珍しい天日干しで3日間かけてじっくり乾燥させることが、独特のツルツル食感とコシを生み出す秘訣になっています。

息子の今泉喜規さん

「すえひろうどん」を生み出した張本人でもある喜規さん。山間にあるため冬は来訪者が少なくなる稲武地区でも、面白いものを作ったら人が来てくれるのではないかと「すえひろうどん」を考案しました。

一時は父親から「店を畳んで働きに出た方が良いのではないか」と言われていたそうですが、「すえひろうどん」の人気が出てからはそういった話もなくなったとのこと。末広がりの「すえひろうどん」は、稲武の厳しい冬を乗り越える温かさをもたらしました。

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