〈1.1大震災〉諦めないセンバツ 航空石川、山梨合宿へ

避難所でボランティアに奮闘する福森さん(左)=12日午後3時15分、七尾市矢田郷地区コミュニティセンター

  ●26日の吉報待つ ライバルは北陸(福井)

 3月開幕の春のセンバツに向け、日本高野連が候補校として承認した134校(出場は32校)に航空石川高が選ばれた。地震で甚大な被害を受けた中、野球部員は15日にも山梨県の系列校で「合宿」に入る。「能登に勇気を与えたい」。ナインは被災地の思いを背負って練習を続け、26日の吉報を待つ。

 開会式の入場行進曲がシンガー・ソングライターのあいみょんの「愛の花」に決定した。選考理由は「希望にあふれる歌詞と温かみのある世界観が多くの人に愛されていること」。航空石川高が被災地へ届けたいのも同じ「希望」で、部員の甲子園出場の願いは強くなっている。

 今年のセンバツは北信越に3枠が与えられ、北信越大会優勝の星稜と2位の敦賀気比が当確。残る1枠は3位の航空石川と北陸(福井)のどちらかと見られ、26日の選考会で決まる。選ばれれば被災地復興のシンボルとして注目を集めるのは必至だ。

  ●掃除や炊き出し、フォームも確認 輪島で被災の福森さん「能登に勇気を」

 航空石川2年の福森誠也さん(17)は地震発生時、七尾に住む両親らと輪島市鳳至町にある祖母宅にいた。壁の下敷きになった祖母らを助け、はだしで高台に避難。家族10人は無事だったが、無残なまちの姿に言葉を失った。家族全員で車1台に寝泊まりし、2日間は即席麺を分け合ってしのいだ。

 七尾にある実家も被害を受け、3日に一家で矢田郷地区コミュニティセンターに身を寄せた。被災した住民が助け合う姿を見て「何か役に立ちたい」と避難所で掃除や炊き出しを手伝うようになった。作業の合間にはガラス窓に映る姿で投球フォームの確認も欠かさない。主力の30人に選ばれ、甲子園出場を夢見る。

 出場校が決定する選考会は26日。15日にも山梨へ出発する福森さんは「能登を元気にするという新しい目標ができた」と笑顔を見せた。母の恭子さん(37)は「思い切り野球をしてほしい」とエールを送った。

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