〈1.1大震災〉「ほっとした」「安全に寝られ感謝」 被災の62人が山代温泉入り

避難先に入り聞き取り調査に臨む被災家族=9日午後10時40分、加賀市内の旅館

 加賀市は9日、能登半島地震の被災者6家族14人を輪島市の避難所から2次避難で市内の宿泊施設に初めて受け入れた。10日も金沢市のいしかわ総合スポーツセンターに開設された「1.5次避難所」から15家族48人が到着し、受け入れ数は計62人となった。

 被災者は全員、山代温泉の旅館「みやびの宿 加賀百万石」に入った。

 9日午後10時35分ごろ、加賀市への第1陣が旅館に到着。20歳男性~98歳女性の14人は出迎えた市職員の聞き取り調査に応じ、食事や下着、衣類、マスクなど必要な支援物資を受け取り、それぞれの部屋に入った。

 夫婦2人で輪島中などに避難していた輪島市鳳至町の漁業逢坂伸春さん(70)は誕生日の元日に被災し、「とにかく今はゆっくり寝たい」と硬い表情を緩めなかった。輪島中で避難生活を送り胃腸の調子を悪くしたという輪島市河井町の長岡正容さん(72)は「加賀に到着してほっとした」と疲労感をにじませた。

 未明に大浴場で元日以来の風呂に入ったという輪島市鳳至町の佐渡妙子さん(74)は10日、避難所で転倒し頭にけがを負った母つね子さん(98)、長男(49)とともに加賀市内の医院で診察を受け少し落ち着いたと言い、「暖かい場所で安全に寝られ、食事も良くて感謝したい」と話した。

 「みやびの宿 加賀百万石」の吉田久彦社長は「まず温かい温泉にゆっくりつかってもらい、一般のお客さまと変わらないおもてなしをしたい」と受け入れ準備に追われた。

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