〈1.1大震災〉九谷焼被害5000万円超 商品1000点以上割れる 県商工業協組「過去最大」

床に落ちて散乱した九谷焼作品=1日、能美市の九谷陶芸村(秀幸九谷提供)

  ●業界の需要縮小懸念

 能登半島地震で能美、小松市内の九谷焼の販売・卸売業者の多くが被災し、商品の被害総額が5千万円を超えることが15日、県陶磁器商工業協同組合(能美市)のまとめで分かった。店の商品が割れるなど被害点数は計1千点以上で、「自然災害の被害としては過去最大」(同組合)という。経営存続や需要縮小を不安視する業者もおり、地震が伝統産業に深い爪痕を残している。

  ●高額商品の破損も

 組合が加盟全63業者にアンケートを実施した結果、15日時点で回答があった26業者全てが被災したことが判明。全体の被害額はさらに膨らむ可能性が高い。店の陳列商品が落ちて割れたほか、倉庫内の商品が破損する業者が目立った。販売価格が100万円以上の高額商品が破損したケースもあった。

 九谷陶芸村に店を構えるマルサン宮本本店では店の湯飲みや茶わん、倉庫内の花瓶など100点以上が割れ、被害総額は250万円に上る。宮本繁社長(73)は「昨年5月の地震とは比べものにならないほどの揺れだった。これほど被害が大きいのは記憶がない」と話す。

 能美市が開設した被災者向けのワンストップ窓口には、14日までに事業者用の被災証明書の交付申請が85件あり、うち47件が九谷焼業者からだった。組合によると、3月の北陸新幹線県内全線開業を控え、事業者からは風評被害による業界の需要縮小を懸念する声も少なくないという。

 同組合の岩田克久理事長は「販路拡大の取り組みに水を差された格好だ。県内全体の観光業の停滞を心配する声も多く、公的な支援がないと成り立たない業者は多いのではないか」と話した。

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