「畳破り」無病息災を祈願 諫早・楠公神社

激しくぶつかりあう氏子たち=諫早市、楠公神社

 上半身裸の男たちが畳を挟んでぶつかりあい、引きちぎったわらを互いにこすり付け合って五穀豊穣などを願う奇祭「楠公祭(なんこうさい)」(畳破り)が14日、長崎県諫早市白浜町の楠公神社であった。
 南北朝時代の武将、楠木正成親子などを祭った同神社は1707(宝永4)年の創建。同町自治会の酉越和則会長(69)によると、250年以上続くとされる正月の伝統行事で、楠木勢が籠城し、鎌倉幕府勢と対峙(たいじ)した「千早城の戦い」(1333年)をなぞらえたものと伝わっているが、はっきりとした起源は不明。

わらの束をかぶって参道を駆け上る氏子たち

 40~70歳代の氏子約25人が参加。太鼓の音を合図に、よろいかぶとの代わりにわらの束をかぶった幕府勢が参道を駆け上り、1枚の畳を盾に社殿内に立てこもる楠木勢と激しくぶつかりあった。引きちぎられた畳や、わらの粉じんが舞い上がる中、氏子たちはわらを体にこすり付け合い、1年間の無病息災を祈願した。
 初めて参加した幕府勢の馬渡春彦さん(55)は「最近町内に転居したが、町の仲間として認められたようでうれしい。準備などを通して仲良くなれ、楽しかった」と笑顔で話した。

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