富士通幹部、英議会で謝罪 郵便冤罪事件で、補償も

16日、英下院委員会で証言するポール・パターソン氏(英議会の配信映像から・共同)

 【ロンドン共同】富士通の会計システムの欠陥が発端となった英国の郵便事業者の冤罪事件を巡り、富士通の幹部が16日、英下院委員会で証言し、謝罪した。政府内で富士通を糾弾する声が高まり、事件被害者が賠償金負担を求めている。同幹部は欠陥を認め、補償について一部負担もあり得るとの意向を示した。

 証言者は富士通本社の執行役員で、欧州地域の共同最高経営責任者(CEO)ポール・パターソン氏。補償に関して「道義的責任がある。救済に貢献する役割を担う」と述べた。

 早い段階からシステムに「バグとエラー」が存在し、富士通側が郵便会社「ポストオフィス」に伝えていたと強調した。ただ大規模システムにはバグが付きものだとも指摘した。

 ポストオフィスが会計システム「ホライゾン」を導入した直後の1999年から、各地の郵便局の窓口で集めた現金の額が会計システム上の記録より少なくなる問題が頻発。英国で起訴など刑事手続きの一部権限があるポストオフィスが2015年までに郵便窓口業務を請け負う個人事業者700人超を横領や不正経理の罪で訴追した。不足額の補填を強いられて破産や自殺に追い込まれた人もいた。

英ロンドンにある郵便局の看板=11日(ロイター=共同)

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