〈1.1大震災〉校舎に明かり、歓声と拍手 珠洲・大谷小中

停電が解消され、明かりがともった体育館で過ごす避難者=16日正午、珠洲市大谷小中

  ●2週間ぶり停電解消

 能登半島地震の避難所となっている珠洲市大谷小中で15日夕、停電が解消された。2週間ぶりに校舎に明かりが灯(とも)り、避難者は歓声と拍手でインフラ復活を歓迎。児童らは早速、照明の下で勉強を再開し、電気のありがたみをかみしめた。

 大谷小中には多い時で400人が避難したが、2次避難が進み、現在は150人ほどとなっている。地震で親族10人を亡くした中谷耕一さん(69)=長橋町=は「ずっと石油ストーブだけやったけど、今はエアコンが効く。ファンヒーターの風も暖かい」とほっとした表情で話した。16日、校舎2階では子どもたちが教科書とノートを広げ、鉛筆を走らせていた。同校の児童生徒23人は全員が無事で、上田辰美校長(59)は「地元で安心して学べる環境を全教職員で作り上げていきたい」と涙ながらに語った。

  ●大動脈、通行止め

 大谷小中までの道のりは険しかった。内浦と外浦を結ぶ大動脈「大谷道路」は通行止めが続き、飯田から大谷へ向かうには大谷峠の迂回ルートしかない。スキー場の林道コースのような道を進み、1時間近くかかってようやく大谷へたどり着いた。

 目の前に広がった光景に目を疑った。外浦の海岸線は土地が隆起し、ゴツゴツした岩肌が続いていた。5月の大型連休にたくさんの鯉のぼりが掲げられ、観光客でにぎわう大谷川沿いは見る影もない。かつての大谷が戻ってくるのは一体いつになるのだろうか。(元珠洲支局長・宮本章史)

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