スマホの充電や情報発信 シェアサイクル駐輪場が災害時の拠点に 大学の実証実験「台風災害」や「能登半島地震」でも活用【わたしの防災】

能登半島地震の発生から1月15日で2週間が経ちました。元日の発生で、日頃から防災意識を高めておく必要があると改めて感じた人も多いのではないでしょうか。静岡市では2023年12月、市民が24時間利用できるある場所が、防災拠点として活用できるようリニューアルされました。

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<TOKAIケーブルネットワーク企画部 山内崇資部長>
「上がスマホ向けのワイヤレス充電器になっている。これは日常的に市民にも開放して使っていただける」

静岡駅北口の駅前広場にあるシェアサイクルサービス「パルクル」の駐輪場です。

パルクルは、静岡市とTOKAIグループによる官民連携の事業で、2020年にサービスを開始。通勤や買い物など、日常の足として市民に定着し、現在は、自転車数600台、ステーション数207か所と規模を拡大してきました。

<TOKAIケーブルネットワーク企画部 山内崇資部長>
「発電用に上に太陽光パネル、それを蓄電する蓄電池と情報発信のサイネージ(電子看板)を取り付けたのが大きなリニューアルのポイントになる」

パルクルの充電は現在、商用の配電線から供給されていますが、今回、太陽光パネルを設置。太陽光のエネルギーで発電し、パワーコンディショナーを通して、そのまま自転車の充電装置に入る仕組みとなっていて、スマートフォンのワイヤレス充電にも使うことができます。

<TOKAIケーブルネットワーク企画部 山内崇資部長>
「2022年の夏に停電が静岡市内でも起きて、情報が取れないということへの不安感や不満感を感じたと思います。公共の場でデジタルサイネージを置いて、行政が持っている正しい情報を発信してあげることによって、市民が安心感を感じてもらえるんじゃないかなと思っています」

大型のデジタルサイネージでは普段、シティプロモーションや発電状況が流れていますが、災害時には停電などの最新情報が発信されます。このデジタルサイネージの効果について、専門家は「防災や災害時の情報を市民に定着させる機会でもある」と話します。

<法政大学大学院政策創造研究科 上山肇教授>
「(行政に)情報を出していただいても、その情報が理解できなかったり、わかりづらかったりするというようなことがあるのではないか。サイネージに示すような情報、コンテンツみたいなものを、いかに市民の人にわかりやすいものとして出せるのかが1つ大きなポイントとしてある」

法政大学は、災害時の情報環境の整備を推進するため、行政や企業に協力を求め、駅や市役所などでサイネージの効果について実証実験を行いました。実験中のおととしには台風15号が発生し、静岡市から依頼のあった情報を流したといいます。

<法政大学大学院政策創造研究科 上山肇教授>
「ここで情報を流してますよと、いざという時にはこれを見てもらうと、県なり市の最新の正しい情報が取れますよということが、平時から周知されることがいいことだと思っている」

TOKAIケーブルネットワークと静岡市は、災害時、パルクルを有効に活用できるよう協議を重ねています。

<静岡市交通政策課 鳥居塚安伸係長>
「お互いの強み、いいところを出しあって、連携して官民連携でいろいろトライしていかないと前に進まないと思う」

<TOKAIケーブルネットワーク企画部 山内崇資部長>
「災害時に市の職員に自転車を使ってもらえるように開放するのがいいのか、もしくは付いてるバッテリーを備蓄電源として市民の皆さんに使っていただくのがいいのか、両方は成立しないので、どっちがいいのか、どうやってやればいいのか含めてこれから検討していきたいと思います」

当たり前にある場所が、有事の際にも市民の拠り所となりそうです。

法政大学の実験で使っていたサイネージは、能登半島地震でも活用され、災害情報を発信したということです。

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