特殊装備車両製造の大江車体特装(山形市、大江晴久社長)は16日、自社開発した災害支援車「LCX」1台を26日から、能登半島地震被災地の石川県珠洲市社会福祉協議会に無償貸与すると発表した。「動くライフライン」のLCXは1台で電気、ガス、水の供給が可能で、被災者や復旧活動の支援のために使う。
LCXは発電機のほか、コンロと発電機の燃料になるLPガスボンベ、河川水や雨水を飲料水に生成する浄水器を搭載する。試算では1台で約500人分の対応が可能という。当面、同社協に配備し、飲料水の確保、住民への炊き出し、電子機器の充電、照明電源などに活用する。
主に自治体からの受注を想定して2021年、平時は工事現場やイベント会場で役立てようと、軽トラックをベースに商品化した。珠洲市はガスと水道が壊滅状態で、復旧に3カ月以上かかるとされる。開発時に助言を受け、現地で支援活動に当たった県自主防災アドバイザー千川原公彦さん(山形市)の依頼で派遣を決めた。
機材のメンテナンス費用約100万円は同社が負担する。大江裕二専務と共に現地入りする大江社長は「まさにこの時のために開発した車両。現地で求められている温かい料理を作るのに役立つ。被災者に少しでも普段に近い生活をしてほしい」と語った。