山中温泉「たわらや」が事業再生 旧会社は特別清算、営業は継続

 加賀市山中温泉にある創業800年超の老舗旅館「たわらや」の旧運営会社「TY」(旧白鷺湯(しらさぎゆ)たわらや、大阪市、田向安郎代表清算人)は17日までに、大阪地裁から特別清算の開始決定を受けた。新たに設立した会社「白鷺湯たわらや」に事業を移し、負債を残した旧会社を特別清算する「第2会社方式」で事業再生を進めており、旅館は新会社が営業を続けている。

 帝国データバンク、東京商工リサーチ両金沢支店によると、負債額は7億9千万円とみられる。

 新会社の田向公一社長によると、旅館は鎌倉期に創業し、1950(昭和25)年に法人化した。91年のピーク時には約9億2千万円の売上高を計上した。

 83年の建て替え時の借入金がバブル崩壊などで残っており、新型コロナの業績低迷も受けて返済の見通しが立たなかったため、抜本的な事業再生を決めた。

 新会社は昨年2月に事業を引き継ぎ、同4月には国の補助金を活用し、露天風呂付き客室4室を設けた。今期(2024年8月期)は事業再生計画を上回る業績で推移しているという。

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