地域のつながりが「迅速な救助に」能登半島地震の被災地で活動、京都の消防署員が訴え

能登半島地震の救援活動を踏まえた防災対策について講演を聴く参加者(京都市左京区・京都大原記念病院)

 能登半島地震の被災地で救援活動を行った京都市の左京消防署員が17日、左京区内の病院で講演した。石川県珠洲市で倒壊家屋からの救助に携わった体験から、安否情報を共有できる地域のつながりが「迅速な救助につながる」と訴え、防寒をはじめとした日常の備えの大切さを呼びかけた。

 阪神大震災の発生から29年を迎えたのを機に京都大原記念病院が企画。同病院グループの職員ら約40人が参加した。

 署員は緊急消防援助隊京都府大隊の第一次隊として1日から5日間派遣された。倒壊家屋の救助活動では、屋根の重みなどで2階建ての1階部分が押しつぶされた民家が多かったといい、二次災害の危険もあって人力で慎重に掘り起こしたという。

 行方不明者の捜索では、倒壊家屋周辺の住民への聞き込みにより、「既に避難所に向かった」「亡くなった」などと安否情報を得られやすかった。「救助は一軒当たり50人もの人手が要るが、要救助者がいないとすぐ分かれば早く次に向かえ、効率的に多くの人を助けられる」と語り、近所付き合いや自主防災活動を通じたコミュニケーションが大切と強調した。

 「停電や燃料不足で被災者にとっては寒さが厳しい状況だった」と、防寒の備えの重要性も指摘。救援物資が届かい事態を想定して1週間分の食料の備蓄も必要とした。

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