パンク修理に奮闘 珠洲で被災の自動車整備会社 「生活の足取り戻す」

工場が被災しながらも車の修理を続ける中野憲司さん=珠洲市宝立町

 能登半島地震で被害が大きかった珠洲市で、自動車整備会社の社員が車中泊を続けながら、パンクしたタイヤの修理に奮闘している。社員7人のうち5人が避難所生活を余儀なくされ人手が足りない中、「被災者の生活の足を取り戻すため、自分たちが今できる限りのことをしたい」と活動を続ける。

 修理に励むのは「カーライフ中野」=宝立町春日野=の中野憲司さん(46)。工場の設備は地震でほとんど使用できない状況だが、住民の不便さを思うと修理の依頼を断ることができなかったと語る。

 市内では隆起や陥没した道路でタイヤがパンクするトラブルが多発し、修理の依頼が殺到。同じ社員の兄浩司さん(54)も協力しているが、問い合わせの電話は鳴り止まず、全てに対応できないのが心苦しいという。

 父、妻、3人の息子と暮らす憲司さんの自宅は倒壊を免れたが、子ども3人が揺れの恐怖で家に入ることを嫌がり、1日から家族6人で車中泊をしている。

 憲司さんは「家族への負担や復興への道が見えない不安はあるが、大切な故郷からは逃げ出せない。できる仕事は限られるが、少しでも力になりたい」と話した。

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