谷川氏(衆院長崎3区) パー券問題で私的利用を否定 「漠然と大丈夫と考えた」

 自民党の谷川弥一衆院議員(82)=長崎3区、7期目=が、政治資金パーティー券問題に関する東京地検特捜部の事情聴取に対し、所属する安倍派(清和政策研究会)から受け取った販売ノルマ超過分の還流について、私的利用を否定していることが18日分かった。谷川氏は、有力派閥内での組織的な裏金づくりの慣行に問題意識を持てず「漠然と大丈夫だと思っていた」と後悔しているという。
 19日に立件される見通しで議員辞職が不可避となる中、取材に対し、地元からの批判を受け止め「ご迷惑をおかけし申し訳ありません」と重ねて謝罪した。
 清和会は安倍晋三元首相ら党重鎮が歴代トップを務め、多数の閣僚を輩出してきた。谷川氏も文部科学副大臣や農林水産政務官を歴任。党内でさらに政治力を高めるため、パーティー券販売に人一倍力を入れたという。売り上げは全額、派閥に振り込んでいた。
 特捜部の調べに対し、直近5年間で派閥から4千万円超を受け取ったと認める一方、「使っていない」と説明。それ以前については県勢浮揚のため「さまざまな政治活動に使った」としている。これまで地元離島の支援にこだわり、離島漁業再生支援交付金や国境離島新法の創設や予算確保などに向け動いた。
 だが党内最大勢力の中で「(安倍氏ら)大物も多かったため、漠然と大丈夫だと考えていた。これほど大きな問題になるとは夢にも思っていなかった」といい、「いま思えば、その都度、専門家に対応を相談しておけばよかった。ざんきに堪えない」と悔やむ。
 任意聴取に協力し、政治資金収支報告書不記載への関与を認めたこともあり、特捜部は逮捕や家宅捜索など強制捜査を見送り、略式起訴にとどまる見通し。その場合、谷川氏は議員辞職する意向。併せて地元で記者会見をする。

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