「アガサ・クリスティ オリエント急行殺人事件」をレビュー!名探偵エルキュール・ポアロとなり急行列車で起こった殺人事件の謎を解き明かせ

2024年1月25日に発売されるPS5/PS4/Nintendo Switch用ソフト「アガサ・クリスティ オリエント急行殺人事件」。今回は本作の先行レビューをお届けしよう。

■2023年を舞台に展開するオリエント急行殺人事件

タイトルにもあるように、本作は推理作家のアガサ・クリスティが手がけた「オリエント急行殺人事件」を題材にしている。名探偵のエルキュール・ポアロが登場する推理小説シリーズの1作で、「アクロイド殺し」や「そして誰もいなくなった」などと並んで、世界的に有名な小説だ。

物語は、仕事を終えたポアロがロンドンに戻るため、イスタンブール発の列車に乗るところから始まる。オリエント急行140周年を祝う特別な列車で旅を満喫するはずが、線路上に確認された雪の吹き溜まりで立ち往生したあげく、車内では殺人事件が発生。乗客のひとりが刺殺されてしまう。

周囲を雪山に囲まれているせいで電波も入らず、スマートフォンでの救援も望めないなか、ポアロは探偵として事件の捜査に乗り出す。そのなかで、彼は殺人犯は列車内にいる誰かであると仮説を立てる。

原作は1934年に書かれたが、ゲーム版である本作は舞台を2023年に変更。カードキーで認証するドアが備え付けられたホテルもあるし、主人公のポアロはスマートフォンを持っている。捜査の一環で証拠品を撮影したり、スマートフォンの画面を人に見せて話を聞いたりするシーンもあった。

原作にはいなかった新しいキャラクターとして登場するジョアンナ・ロックも特徴だ。詳細は控えるが、彼女は今回の殺人事件に関わっており、ストーリーでも重要な役割を果たす。

原作を知っている人も驚愕するような展開が待っているため、原作を知らない人は本作の物語を純粋に追えるし、逆に読んでいる人はオリジナルとこちらの違いを確かめられる。それぞれ違ったプレイ体験を楽しめるはずだ。

■指摘と論破、パズルに金庫破り……多彩な謎解き

列車内で起こった殺人事件の謎を解き明かすために、プレイヤーは調査を行う。遺体の傷跡や現場周辺にある物品の検査はもちろん、関係者に聞き込みを行い、氏名や職業といった基本的な情報から、事件当時はどこで何をしていたか、被害者との関係といった細かい部分まで調べていく。

聞き込みや現場検証だけでなく、パズルのようなちょっとした謎解きがあるのも本作の特徴と言える。限られたスペースに荷物が入るよう配置を考えたり、マトリョーシカの正しい絵柄を探したり、品名と内容量、秤を使ってビンの中身を当ててみたりと、バリエーションは豊富。証言や文書とにらみ合っているだけでは目が痛くなるので、こうした脳トレともいえる謎解きは息抜きにもなって楽しかった。

さらに、本作ではポアロだけでなくジョアンナ・ロックを操作するシーンもある。こちらでは場面が大きく変わるうえ、彼女の立場を生かした謎解きも多かった。小説なら地の文で終わりそうなところを、実際にその場面に移ってプレイヤーに遊ばせるというのは、本作がゲーム版「オリエント急行殺人事件」だからこそできる芸当だろう。

■謎解きはやや難しいがヒント機能も充実

ある人の話がほかの証言と食い違っている、あるいはあそこで手に入れた証拠品と矛盾しているなど、謎を解き明かしていくにつれて多くの疑問が浮かんでくる。そのまま調査を進めても事件は進展しないが、そこで“マインドマップ”が重要になってくる。

マインドマップはポアロやジョアンナ・ロックの脳内にあるツールで、これまでに集めた情報を整理できる。集めた証言から仮説を立てることもできるし、証拠品の持ち主のリストアップ、互いのアリバイを補完し合っている組み合わせの確認が可能。物事を論理立てて考え、真実への糸口をつかむための武器だ。

マインドマップの中には、大きな謎とそれに連なる小さな謎から構成された大きなグループがいくつかある。今回で言えば、列車内で起こった殺人事件の犠牲者という大きな謎があり、身元をはじめとする彼の情報が小さな謎として互いに線でつながり、ひとつのグループを形成している。その線を辿った先の末端にある謎とその対処法に、現時点でプレイヤーが取るべき行動を指し示しているので、迷ったらマインドマップにある最新の謎を調べるといいだろう。

また、マインドマップは頻繁に確認し、事件の進展があるたびに全容を把握したほうがいい。というのも、本作では謎を解くシーンの多くで、これまで調べてきた情報を照らし合わせることができないからだ。相手の発言の矛盾点を指摘する際、頼りになるのはプレイヤーの記憶力なので、誰が何を言っていたか、話している相手は誰でどのような人間なのかなどをしっかり覚えておく必要がある。

さらに、前述のマトリョーシカのパズルやビンの種類を当てるといったちょっとした謎解きも、基本的に目の前にある情報をプレイヤーが直接読み取って推理する。そのため、本作の謎解きはどちらかと言えば難しいほうだろう。幸い、どれだけ間違えてもゲームオーバーにはならないため、総当たりまではいかずとも、自分なりの仮説を立てているのなら臆せずどんどん選ぶべきだ。

とはいえ、謎解きのシーンではヒントが見られるので、どうしてもわからなければそちらを頼ろう。本作はチャプターごとのクリアランクなどはなく、ヒントを見てから解いても成績が下がることもない。

世界的な推理小説「オリエント急行殺人事件」を題材にしている本作。エルキュール・ポアロをはじめとする登場人物を忠実に再現しながらも、2023年という現代を舞台にすることで世界観をアレンジしているほか、やり応えがあってバリエーションも豊富な謎解きが楽しめる。オリジナルを読んだ人も、謎解きが好きなゲーマーもぜひ遊んでほしい一作だ。

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