白糸のすだれ丁寧に 砺波で「大門素麺」製造が最盛期

素麺を伸ばしながら、麺がくっつかないように広げる「はしわけ」作業をする生産者=砺波市大門

 砺波市大門地区で藩政期から続く伝統の手延べそうめん「大門(おおかど)素麺(そうめん)」の製造作業が最盛期を迎えている。JAとなみ野・大門素麺事業部理事の末永勝己さん(55)=同市大門=方では連日、末永さんら4人が生地をすだれのように長く伸ばして乾かす作業に励んでいる。

 末永さん方では、前日にこしらえた生地を長さ約0.6メートルにした後、「はさ」と呼ばれる道具に掛けて数回引っ張り、約2メートル近くまで丁寧に引っ張り、箸しん棒でくっつかないように広げて大型扇風機で乾かした。

 麺は寒さが厳しいほど引き締まるため、末永さんは「今年は暖冬でやりにくいが、その日の天気に合わせて気温や湿度に注意を払っている」と話した。作業は3月末まで続く。

 大門素麺は江戸後期からの伝統の製法で作られ、風味や香り、強いコシが特徴で、贈答用として人気が高い。昭和初期は60軒の農家が生産していたが、生産者の高齢化や廃業で現在は10軒となり、需要に生産が追いつかない状況となっている。

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