武雄市東川登町の東川登小で15日、「卒業記念揮毫(きごう)会」があり、6年生17人が素焼きの陶器に絵付けをした。町内の県重要無形文化財保持者の江口勝美さん(87)が指導し、子どもたちは卒業記念となる湯飲みに好きな言葉を入れたり、絵を描いたりした。
江口さんは還暦以降、同校の6年生に卒業記念に絵付けの指導を毎年続けている。実技に入る前には武雄の焼き物の歴史について解説し「慶長2(1597)年に朝鮮半島の陶工10人が武雄にやって来た。東川登町では鉄絵の技法が広まった」と説明した。
実技では、江口さんが筆を走らせながら「絵や文字は2度塗りせず一気に書く」「(陶器の面と)直角になるように上から描くと、きれいに仕上がる」などとアドバイスした。子どもたちはあらかじめ用意した紙に言葉や絵を下書きしており、気持ちを集中して湯飲みに描いていた。
笑顔と書いた原田心遥(こはる)さんは「これからも笑顔を大切に過ごしたい」と言い、心と書いた庭木華恋(かれん)さんは「心新たに中学生活を送りたい」と話し、それぞれ文字に思いを込めていた。
湯飲みは江口さんの小山路窯で釉薬ゆうやくをかけて焼き上げ、3月15日の卒業式までに学校に届けられる。(澤登滋)