熟年離婚で思いもよらない苦労をした女性たち #5「苦しいすれ違い」

長い間、結婚生活のストレスに耐え、子育てが一段落したなど区切りがついたときに離婚に踏み切ったけれど、その後の人生のほうが苦しくなってしまうことも。

離婚そのものに後悔はなくても、勢いで進めて後で損をしたと知ったり、思ってもいなかった苦労が待っていたり、結婚していた頃よりさらに窮屈な生活になるのはつらいものです。

何がいけなかったのか、どうすればよかったのか、熟年離婚後に大変な思いをすることになった女性たちのリアルを実録でご紹介します。

「『俺は稼いでいるのだから』と家事や育児をほとんどやらず、子どもたちの問題ともまともに向き合うことがなかった元夫。

ふたりの息子は冷え切った私たちの関係には無関心で、高校を卒業後はそれぞれ行きたい土地で就職を果たし、寂しいけれどそれはよかったと親として思っています。

子どもたちが家を出てから元夫に離婚を切り出し、定年退職した後は私に自分の親の介護を押し付けたがっていた元夫は激しく抵抗しましたが、私が荷物をまとめて家を出たのを見て、離婚届に判を押しました。

私自身はずっとパートの短時間勤務で収入は多いほうではありませんが、実家の両親は『家事をするなら』と私との同居を許してくれて、そのときは感謝しましたね。

ところが、いざ離婚が成立して残りの荷物を実家に運び込んだとき、母が『お金は?』と言い出して。

一刻も早く離婚したかった私は、財産分与では貯蓄を半分にすることだけ決めて受け取っており、元夫の生命保険の返戻金の半分などは諦めていたのですが、少ないことを知り母は驚きました。

『お前のお金をあてにしていたのに』とため息をつかれ、どうやら母は財産分与で得たお金と私の収入で暮らしていくつもりだったようです。

パートの勤務時間は増やせることを話しており、父も母もまだ元気で同じくパートでそれぞれ働いているのですが、母は仕事を辞めたかったのですね。

離婚で頭がいっぱいだった私はそこら辺の話を両親としておらず、詰めの甘さを実感しました。

落胆する母に申し訳ないと思う気持ちと、離婚で得たお金をあてにされる現実と、晴れて離婚が叶っても喜ばれないことがしばらくは苦しかったです。

実家に戻るときは、お金や働くことについて、親としっかり話し合うのが正解と思います」(45歳/小売業)

離婚後の生活について、実家の親とすれ違いが起こるのはよくあることです。

一緒に住むのならと収入などをある程度あてにされることは仕方ないとしても、離婚で手に入れたお金まで一方的に生活の算段に入れられるのは、ストレスを感じますよね。

避けては通れないのがお金の話で、実家に戻る前に生活費についてどうするか、はしっかりと話し合っておくのが賢明と感じます。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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