●第2陣24人も到着
能登半島地震で被災した珠洲市民が富山市に集団避難を始めてから一夜明け、2次避難所の富山市内のホテルでは21日、被災者が半月ぶりの風呂や熟睡に「一息つけた」と安らぎを感じながら過ごした。ホテルには同日、珠洲市からの第2陣として24人が到着した。
20日の第1陣の44人は約6時間かけて夜に到着した。大谷町で1人暮らしの70代男性は「風呂に入り、十分な食事も取ってすっきりした気分」と表情を緩めた。ただ、目を閉じて今後のことを考えると眠れなくなると言い、「なんで老後にこんな大きな試練が来るのか。どうしていいか分からない」と声を落とした。
ホテルは徒歩圏内にスーパーなどの商業施設がなく、避難者からは「買い物をどうしようか」との不安の声も漏れた。
●塩作りの浦さん「伝統守りたい」
国重要無形民俗文化財「能登の揚浜式(あげはましき)製塩の技術」を受け継ぐ長橋町の浜士浦清次郎さん(55)は、勤務する道の駅「すず塩田村」が休業に追い込まれ、働き先を失った。「伝統を後世に伝えるため、珠洲に戻って守りたい」との思いはあるものの、道の駅がいつ再開するかは分からない。経済的に苦しくなる中、早期の復興が進まなければ移住と転職を考えるという。
珠洲市によると、富山市内の同ホテルへの集団避難は第1、2陣が大谷地区で、22日の第3陣は宝立地区の28人を予定する。石川県は富山県内の旅館やホテル47施設を2次避難所に登録している。