〈富山新聞文化センター〉「最後の新曲」を解説 高岡本部講座「ビートルズ大学」始まる

宮永氏(右手前)の解説でビートルズを味わう受講生=富山新聞高岡会館

  ●宮永氏「最新のAI技術駆使」

 富山新聞文化センター高岡本部のスペシャル講座「ビートルズ大学 TAKAOKA」は21日、富山新聞高岡会館で始まった。ビートルズ研究の国内第一人者で音楽評論家の宮永正隆氏が講師を務め、「ビートルズを味わうことは人生を味わうこと」とメンバーの歴史や音楽の魅力を交えて楽しみ方を紹介した。約150人が聴講した。

 初回は「今、世界中の話題!『ビートルズ最後の作品』賞味法」と題し、昨年11月に世界同時発表された「最後の新曲」である「ナウ・アンド・ゼン」を解説した。

 宮永氏は「ナウ・アンド・ゼン」は1970年の解散後、70年代後半にジョン・レノンがソロ活動の中で吹き込んだデモ音源が元になったと紹介して音源を流した。95、96年にメンバー自らがあゆみを振り返った「ザ・ビートルズ・アンソロジー」の制作過程で、80年に他界したジョンの妻ヨーコ・オノがポール・マッカートニーに音源を託した経緯を説明した。

 デモ音源は雑音がひどく、歌詞も散文的なため当初は完成が危ぶまれていたと言及。最新のAI技術を駆使してジョンの音声を抽出し、ジョンのピアノや2001年に他界したジョージ・ハリスンのギターをポールが手癖そのままに再現。リンゴ・スターのドラムやセッション時に録音したメンバーのバックボーカルも加わって完成したと舞台裏を語った。

 宮永氏と受講生は一緒に完成した作品を堪能し、目を閉じて音楽に聴き入った。宮永氏はメンバーのパートを解説しながら「ポールには曲の完成形が見えていたのだと感動した」と、目頭を押さえながら語った。

 45年以上のファンである氷見市余川の会社員舟金(ふなきん)清則さん(56)は、新曲に立ち会えたタイミングでの受講を喜んだ。1日に自宅で地震に見舞われた際も、真っ先にビートルズのCDやレコードが並んだ棚を押さえたと振り返り「宮永さんの愛にあふれた説明で知識をさらに深められた。帰ってすぐに聞き直したい」と話した。

 2月18日に開かれる第2回「ビートルズの秘密はレコーディングにあり」は完売しており、第3回以降の申し込み、問い合わせは高岡本部=0766(26)7000=で受け付ける。

© 株式会社北國新聞社