「能登牛」の餌不足が深刻化 支援に「一歩ずつ進む」

牛の世話をする能登牧場の平林将専務=16日、石川県能登町

 石川県産ブランド牛「能登牛」の産地・能登町の畜産農家で餌不足が深刻化している。能登半島地震による道路寸断などで供給がままならず「このままだともってあと数日」と話す業者も。肉牛の競りで能登牛が高値で落札されるなど支援の動きもある中、生産者は「被災前の環境を取り戻せるよう、一歩ずつ前に進んでいく」と再建を決意する。

 能登牛は能登町や珠洲市などで生産される黒毛和牛で、きめが細かく上質な脂が特長。県によると、2022年度は1357頭が全国に出荷された。地震により多くの畜産農家で餌不足や断水が起き、孤立状態に陥った農家もある。

 約千頭の能登牛を飼育する能登牧場。1日の地震で牛は無事だったものの、牛舎は断水、床には約100メートルの亀裂が入った。従業員総出で貯水タンクに残った水をボトルで運んだが、十分には与えられない。

 断水は6日に解消されたが、餌の備蓄は残りわずか。本来なら1週間で50トンの餌が搬入されるが、道路崩落や雪の影響で今は10トンを確保するので精いっぱいで、地震から3週間が経過しても、改善の見通しは立っていない。

床に亀裂が入った能登牧場の牛舎=16日、石川県能登町

© 一般社団法人共同通信社