学校の健康診断は「原則着衣」 「上半身裸」に疑問の声上がり、文科省が見解

学校の健康診断のイメージ

 学校の定期健康診断で上半身裸にさせることに疑問の声が上がっている問題で、文部科学省は22日、「原則、体操服や下着などの着衣、タオルなどで体を覆う」とした通知を、各都道府県や政令指定都市の教育委員会などに出した。2021年の通知は脱衣の是非に言及していなかったが、「原則着衣」の見解を示した形だ。

 今回の通知では、児童生徒のプライバシーや心情に配慮するための着衣を基本とした上で、検査・診察を行う際は「必要に応じて医師が体操服・下着やタオルをめくって視触診したり、服などの下から聴診器を入れたりする場合がある」として、対象となる体の部分を示した。これらの内容について、児童生徒や保護者への説明を求めている。

 文科省は21年3月に出した通知で、正確な検査診察と児童生徒のプライバシー保護の両立を促したが、脱衣についての見解を示さず、保護者や学校保健関係者から明確な指針を求める声が上がっていた。今回の通知内容は、医師、養護教員の団体から意見を聞いた上でまとめたという。

 文科省健康教育・食育課は「これまでの方針を変えたわけではない。児童生徒や保護者の不安を解消するため、内容を具体的にした」としており、日本医師会にも各都道府県医師会への周知を依頼した。

 京都市教委は、上半身裸で受けることが基本で、配慮を求める児童生徒には個別対応をするとの方針だが、今後は「文科省の通知を踏まえ、検討したい」とした。

 滋賀県教委は、今回の通知について「内容を確認して県医師会とも相談した上で、県立学校や各市町教委に通知する」としている。大津市の小中学校では本年度から上半身裸での健診は行わないようにしている。

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