〈1.1大震災〉中小企業1件に最大15億円 政府支援案、北陸誘客へ旅行割

 能登半島地震の被災地支援策をまとめた政府の政策パッケージ案が22日、判明した。中小企業の施設と設備の復旧に1件当たり最大15億円補助する方向だ。観光支援では新潟県を含む北陸地方へ旅行する人への割引を新たに実施し、誘客につなげる。被災者の心のケアに向けた取り組みも本格化。輪島塗などの伝統産業も支援する。地震発生から3週間。政府は週内にも正式に決定し、復旧・復興を加速させる。

 パッケージ案に盛り込まれた施設復旧への補助金は、2020年の7月豪雨で実施された「なりわい再建支援事業」を基にする。被災自治体の企業が対象で、工場や店舗、生産機械などを復旧させる場合の費用について、4分の3を補助する。

 輪島塗など地域の伝統産業の事業再開を後押しするため、災害支援枠を設け、需要開拓や新商品開発、人材育成に助成する。アーケードや街路灯の復旧など、商店街の再生も支援する。

 旅行支援は宿泊費やツアー代金の一部を公費で負担する。3~4月、金額に上限を設けた上で、宿泊費の50%程度を補助する方向で調整している。被害が大きい能登地域は、復興状況を見ながら、旅行客の呼び込み策を今後検討していく。

 被災者支援では、心のケアのセンターを新設。近親者などを亡くしたり、トラウマや孤独を抱えたりした人をケアする。仮設住宅に入居した人の見守りや、相談支援にも取り組む。

 住宅が被災した世帯を対象にした最大300万円(全壊の場合)の被災者生活再建支援金も迅速に支給。被災家屋の解体では、全壊だけでなく半壊住宅も住民の自己負担ゼロで可能とする。

 住まいの確保も「喫緊の課題」と位置付けた。応急仮設住宅は、プレハブだけではなく、居住性の高い木造も建設する。

 廃棄物処理施設の早期復旧に向けた支援のほか、生活ごみやし尿を離れた地域まで運んで処理する経費を支援する。

 のと鉄道は一部区間で運転再開の見込みが立たないため国と事業者がバスによる代替輸送の調整をする。自治体が管理する道路や河川、漁港の復旧工事は、要請に応じて国が代行する。

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