【昭和基地=報道部・小田信博】20日深夜、昭和基地の宿舎で休んでいた際、観測隊員の岩波俊介さん(59)=苫小牧工業高等専門学校教授=から「今、地球影(ちきゅうえい)が見えてるよ」と声をかけられた。急いで外に出てみると、水平線近くの空が青色っぽく染まっていた。
地球影は太陽が地平線の下にある時、太陽光を地球が遮ってできる影が空に映し出される現象だ。日の出前や日没直後に現れ、日本でも見ることができる。ピンク色に染まった一帯は「ビーナスベルト」と呼ばれる。
宿舎に戻ると、岩波さんが「見えた?」と笑顔で聞いてきた。地球影の出現は、日が沈まない「白夜」が終わりを迎えつつあることを意味する。昭和基地に昨年12月20日に到着して1カ月余り。美しい「夜空」に、夏の終わりと基地を離れる日が近づいていることを感じた。