「『民間の外交官』を育てたい」 地域の外国人をサポートする女性の原点は

「草の根で国際理解を深めていきたい」と話す麻生さん(精華町山田)

 麻生ひろみさん(68)=京都府精華町=は、同町を拠点に国際交流や外国人のサポートに取り組む団体の会長を務める。「住民が地域に暮らす外国人と壁をつくらずに交流を深めることが大切。それが平和への貢献につながれば」と思いを語る。

 原点は、26歳から2年間派遣されたネパールでの青年海外協力隊員経験だ。電気、水道がなく、食料も乏しい山間部の高校で数学を教えた。「異文化や違う価値観を体感する楽しさ、国籍が違っても気持ちが通じ合うことを知った」。そうした国際交流の魅力を伝えることと同時に、現地の人や教え子に受けたさまざまな恩を、別の人たちに「恩送り」したいと強く感じた。

 1997年に同町に引っ越した際、同隊員OBが講師を務めていた町主催の国際理解の講座を知って参加したのを契機に、3年後の団体発足以来活動に関わってきた。

 外国人の妻が子連れで学べる「にほんご学習室」や、町の国際交流員が講師となった英会話教室などさまざまなプログラムがあるが、麻生さんが主に担当するのが「地球っこ講座」や「スポーツデイ」、外国人による日本語でのメッセージコンテストといった国際理解の取り組みだ。

 貿易を模したゲームで各国の経済格差を考えたり、さまざまな国の遊びや運動を楽しんだりと、外国人と地域住民との交流や体験を通じて世界へ視野を広げることを狙う。「私たちの生活は今や世界と切り離せない。まず隣にいる外国人と仲良くして、相手に関心を持つことから始まる。『民間の外交官』を育てたい」と話す。

 国籍や年代に関係なく、何げなく立ち寄れて、交流できる場所をつくることが今後の目標だ。

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