停電に伴い、東北、上越、北陸新幹線の一部区間が終日運休となった23日、宇都宮や小山など県内の停車駅では旅行や仕事、帰宅の足が寸断され、利用客に混乱が広がった。閑散とする新幹線乗り場の構内の一方、案内表示の周辺は混雑し、駅員は対応に追われた。在来線で目的地へ向かう人のほか、鉄道を諦め急きょレンタカーを借りたり、移動を断念しホテルに向かったりする人の姿もあった。
停電発生から約6時間後、午後4時過ぎのJR宇都宮駅。新幹線に乗るはずだった客たちは「終日運休」を伝えるホワイトボードに見入り、困惑の表情を浮かべた。駅構内には在来線の利用を促すアナウンスが響き、足早にホームに向かう人の姿があった。
福島県須賀川市、作新学院高3年菊地悠梨子(きくちゆりこ)さん(18)は郡山駅から新幹線で通学している。帰宅時に運休に巻き込まれた。「テスト期間なので時間がかかるのは困るが、何とかするしかない」とスマートフォンで帰宅方法を検索した。
夫婦で千葉県内への日帰り旅行中だった仙台市、無職高橋剛(たかはしつよし)さん(75)は状況の様子を見ようと、宇都宮駅まで北上した。臨時列車に乗ろうとしたが駅員から混雑ぶりを聞き、断念。仕方なく宇都宮市内に泊まることを決めた。「体も心も疲れた」と声を落とした。
新潟市、会社員男性(35)は午前、乗車していた上りの東北新幹線が県内を走行中に停車。宇都宮駅まで来て足止めとなった。「帰りたいが泊まるしかないのか」と戸惑った。同駅周辺のホテルでは夕方以降、急きょの予約が相次ぎ、満室となるホテルもあった。
ビジネスマンの“足”にも影響した。盛岡駅へ向かう予定だった小山市、会社員福田和彦(ふくだかずひこ)さん(58)は「お客さんを待たせる訳にはいかない」とレンタカーでの移動を検討していた。
小山駅では夕方、みどりの窓口に新幹線の特急券の払い戻しを求める人の列ができたが、大きな混乱はなかったという。小山市、看護師男性(29)は友人と旅行で金沢市へ向かったが、大宮駅で足止めされ戻ってきた。「楽しみにしていたので残念。帰って来られたのでまだよかった」と複雑な表情をみせた。