「億ション」で人口流出…京都市の中古マンション、手頃価格で選択肢なるか「住むならちょいふる」

若者世代向けに既存マンションをPRするポスターを作製した亀本さん(左)と藤原さん=京都市東山区・京都美術工芸大

 若者や子育て世代の呼び込みに向けて京都市が、中古マンションの情報発信に力を入れている。新築物件が手の届かない価格まで上昇し、人口流出が課題となる中、管理状態の良い市認定マンションを紹介したり、京都美術工芸大学(東山区)の学生が手がけたポスターを掲示したりして、手頃な価格で豊富な選択肢がある強みをPRしている。

 京都市内の分譲マンションは、約2千棟の計約11万戸(2020年度)あり、約15年前に比べ棟数は約1.4倍増となっている。一方、約11万戸のうち、約1割(218棟)が築40年超で、10年後には3倍に増える見込みという。

 築年数が経過する中で、課題となるのが管理修繕だ。京都市は22年度から良好な管理状況の分譲マンションを認定する「管理計画認定制度」を導入。管理組合の運営や長期修繕計画など16項目の基準を満たした建物を認定し、高経年でも安心して住める住戸として「お墨付き」を与えている。

 京都市中心部で「億ション」も珍しくなくなり、人口流出が課題となる中、市は今冬から中古の認定マンションの発信を強化した。市の住まいに関するウェブサイト「京すまいの情報ひろば」で認定済みの分譲マンション13件を掲載し、建物の所在地や住戸数、築年数、管理形態を紹介する。

 新築志向が強い若者世代に既存マンションの魅力を伝えようと京都美術工芸大学生とポスターも作製。4年の亀本夏稀さん(22)が企画し、3年の藤原真奈さん(21)がデザインを担当した。「目にとまりやすく、ふんわりしたイメージ」(藤原さん)との狙いで描いたポップで温かみのあるイラストに、「京都に住むならちょいふるマンション」との言葉を添えた。亀本さんは「市職員でも市外に住んでいる人が多いと聞いた。新築に比べて割安で、管理の行き届いたマンションは子育て世代も安心して住める」と強みを話す。作品は京都駅や山科駅など3カ所に掲示される。

 京都市住宅政策課は「既存の共同住宅に関心を持ってもらい、新たな住民の呼び込みで管理組合や地域コミュニティーの活性化につなげていきたい」としている。

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