青葉被告、微動だにせず 京アニ放火殺人事件公判「有罪判決、主文は後で告げます」

青葉被告に判決が言い渡される京都地裁101号法廷(25日午前10時20分、京都市中京区)=代表撮影

 「有罪判決ですが、主文は後で告げます」。裁判長がそう述べると、青葉真司被告(45)は説明を静かに聞き入った。25日に京都地裁であった京都アニメーション放火殺人事件の判決公判。4年半前、スタジオに火を付けた直後に言い放った「小説をパクられた」という動機は公判でも変わらず、京アニへの恨みをにじませてきた。一方、遺族らの厳しい処罰感情に対しては、極刑で償うべきとの認識も示していた。

  午前10時半ごろ、青葉被告は、紺色のジャージー姿で車いすを押されて地裁101号法廷に入った。最初に審理が再開され、増田啓祐裁判長が被告に向けて「最後に言っておきたいことはありますか」と聞くと、青葉被告は10秒ほど沈黙した後、「ありません」とだけ短く答えた。

 30分間の休廷後に判決言い渡しが始まり、青葉被告は硬い表情で証言台の前に移動した。増田裁判長が主文を後回しにすることを告げると、青葉被告は視線を前に向けたまま、微動だにしなかった。

 増田裁判長は、最大の争点だった責任能力について「心神喪失でも心神耗弱でもなかった」と指摘。その間、車いすに座ったままの青葉被告は時折、首を傾けたりしながら聞き入っていた。

 国内外のアニメファンに愛される会社に成長させたベテランから、将来を期待された若手まで、36人のクリエイターらが犠牲となった。この日も被害者参加した遺族や代理人弁護士ら約65人は、検察官席の後方と傍聴席の一部に座って傍聴した。判決理由が読み上げられている間、厳しい表情を崩さなかった。

 これまでの公判で青葉被告は、小説の執筆について自信ありげに話す一方、自身を監視した闇の人物「ナンバー2」の質問では考え込み、答えに詰まった。主張する「小説の盗用」について「京アニは不問になるのか」と憤る場面もあった。その一方、遺族らが抱える思いや処罰感情に対し、「(極刑で)償うべきだと考えている」「申し訳ございません、という言葉しか出てきません」と述べていた。

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