京アニ事件犠牲者の元同僚「命で償っても償いきれない」 青葉被告に死刑判決「あらがうことなく受け入れて」

事件からの日々を振り返る京アニ元社員の上宇都さん(大阪市内)

 京都アニメーションに創業間もない1985年から事件前年の2018年まで在籍したアニメーターの上宇都辰夫さん(59)=大阪市=は「かけがえのない36人の犠牲は余りに大きい。当然の結果だ」と死刑判決を受け止めた。

 19年7月18日、ニュース速報で火災を知り、「とにかく逃げていてくれ」と社員の無事を祈った。かつて共に机を並べ、懸命にアニメを作り上げてきた仲間たちが亡くなったことに、やりきれない思いを抱えたままでいる。

 報道を通じ、昨年9月から始まった公判の経過を追いかけていると、何度も訪れたことのある事件現場の第1スタジオ(京都市伏見区)で、自分が猛火に巻き込まれたかのような想像をしてしまう。「訳も分からず殺された。その無念はいたたまれない。命がつながれた人には大きな傷が残った。考えるだけで精神がやられそうになる」と胸の内を明かす。

 この日の判決で、裁判長が「残虐非道な犯行」と被告を指弾したことに上宇都さんはうなずく。「命で償っても、償いきれない。あらがうことなく、判決を受け入れてほしい」と話した。

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