「ああ、やっと家に帰れる」14時間以上立ち往生した車の運転手 立ち往生はなぜ起きる? “渋滞学”の専門家に聞いた

大雪の影響は25日も東海各地で見られましたが、名神高速・関ケ原IC付近での車の立ち往生はなぜ起きたのか。専門家の意見も交えて振り返ります。

名神高速道路・関ヶ原IC付近では、24日昼前には車が動かなくなり、深刻な立往生が起きました。

(立ち往生した車の運転手との電話・24日)
「関ケ原IC(下り線)の3キロ手前にいる。午前11時くらいに止まって1ミリも動いていない」

関ヶ原IC付近では、24日午後2時の段階で上りで約270台、下りでは約500台が立ち往生しました。

(立ち往生した車の運転手との電話・24日)
「飲み物は事前に買っておいたので大丈夫だが、食べ物まで買っていなかった。少し考えが甘かった」

ネクスコ中日本は、自衛隊や岐阜県の支援を受けながら除雪と立ち往生した車を最寄りのインターから降ろす作業を続け、上りは25日午前0時、下りは午前4時にすべて車の移動を終えました。

そして、立往生から開放された男性は25日に改めて…

(立ち往生した車の運転手との電話・25日)
「午後10時ごろにネクスコ中日本の人が来て、おにぎり2つとお茶をいただいた。その後、自衛隊とネクスコ中日本の人がスコップやそりなどで除雪をしていた。車が動き始めたのは、深夜1時半ごろ。ああやっと家に帰れると思って安心した」

この福井に向かっていたドライバーは、24日の午後10時までは車に救援の物資も届かなければ情報もなく、不安な時間を過ごすことに。飴をなめてしのいだと言います。

一方、24日午後4時ごろには、ネクスコ中日本から水やカイロ栄養補助食品、簡易トイレが届けられたドライバーもいました。

専門家「大動脈が動かなくなるという躊躇があったのでは」

では、なぜ今回の立ち往生がおきたのか。
渋滞発生のメカニズムなどの研究で知られる「渋滞学」が専門の東京大学の西成教授に聞きました。

(東京大学 先端科学技術研究センター・西成活裕教授)
「想定していた以上の雪が降ったことが大きい。それに対して、関係者がどういう判断をして対策をとったか。他の道路が止まった時にこれ(高速道路)を止めたら、大動脈が動かなくなるといった躊躇があったのではないかと思う」

去年1月に、新名神高速で丸1日以上続いた立ち往生でもそうでした。この時は、三重県から滋賀県にかけての下り線で66キロの渋滞が発生。

ネクスコ中日本などは「東西の大動脈を確保する観点から高速道路の通行止めに躊躇した」「関係機関との情報の共有不足だった」と検証結果をまとめました。

その後、ネクスコ中日本は国土交通省などとともに「名神・新名神冬期道路情報連絡本部」を設置し再発防止に努めてきましたが、今回も立ち往生は起きました。

西成教授は、関係者の改善努力は認めるものの、もう一段先の対策が必要と言います。

(東京大学 先端科学技術研究センター・西成活裕教授)
「大雪だから止めるのではなく、大雪になりそう(なら止める)という予防措置も大事。(通行止めの)基準を決めておいて、1時間あたりの積雪量が前の時間に比べてこれくらい増えたら止めましょうと決めるとやりやすい。大事なのは人の安全なので、予防措置は本当に重要だと思う」

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