青葉被告に死刑判決 娘が犠牲82歳女性「ほっとした、心配やったから」、公判直前に夫死亡

判決を自宅のテレビで見守った石田奈央美さんの母親(25日、京都市伏見区)

 京都アニメーションで色彩を担当し、事件の犠牲になった石田奈央美さん=当時(49)=の母親(82)は、京都市伏見区の自宅で判決の日を迎えた。午後1時40分すぎ、テレビに死刑判決を伝える速報テロップが流れると、「ほっとしました。それ以外にはないと思っていても、心配やったから」と表情をやや和らげた。

 裁判の傍聴は一度もしなかったが、報道で伝わる被告の供述から、計画的な犯行なのになぜ責任能力が争われるのか疑問だった。反省の態度も全く見えなかった。判決では責任能力があり、真摯(しんし)な反省もないと認められ、「ちゃんと見るところを見てくれはった。心が晴れることはないけど、少し楽になりました」

 裁判で真相を知りたがっていた父親は、公判が始まる直前の昨年8月、87歳で亡くなった。「望んだ通りの判決やったよ、とやっと報告できる」。長かった4年半を振り返った。

 2人の遺影が並んだ仏壇に、今も奈央美さんの遺骨を安置している。寂しくて手元に置いてきたが、父親の一周忌に納骨する。「1日も忘れたことはないし、これからも忘れることはない。でも、判決を一つの区切りにしようと思っています」。自らに言い聞かせるようにつぶやいた。

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