立ち往生した運転手「予報の確認、食料や防寒着を備えるべき」 名神高速でなぜ渋滞起きた? 専門家に聞いた 「大雪になりそうなら止める予防措置も大事」

今シーズン一番の寒気が流れ込み、東海地方の各地に影響をもたらした大雪。

三重県いなべ市では、25日は市内全ての小中学校15校が休校に。また県全体では公立小中学校と特別支援学校を合わせて91校が休校となりました。

影響はこんなところにも…

(中道陸平記者)
「こちらのご自宅、室内の水は出るそうですが、外の水道は凍結してしまって水が出てきません」

25日朝の通勤時間帯は、凍った路面で転ばぬようみなさん慎重に。

(市内の病院勤務の医師)
「普段から山に登っているので、万全の態勢で。(Q.普段から歩き?)車通勤です」

いなべ市は、25日の午前中も激しく雪が降りました。

この大雪の影響で東海3県のスリップ事故は、合わせて約800件に上り、各地で交通の乱れがでました。

そして、愛知県にも強い寒気が流れ込み、名古屋の25日朝の最低気温は‐1.3℃、冬日となりました。

夏は海水浴客で賑わうビーチ 海の家の屋根も薄化粧

25日の朝、名古屋駅周辺で伺うと…

(出勤途中の会社員)
「(Q.きょうは早めに出発した?)1本早い電車に乗りましたが、やっぱり遅延していました」

(出張途中の会社員)
「山口に帰ります。(新幹線で)遅れが出ているみたいなので、どうしようかと思って…」

(京都に向かう女性)
「靴のヒールが高くて危ないので、ゆっくり歩こうと。私も間違えたなと思って…」

(当麻葵記者)
「夏は海水浴客で賑わうこちらのビーチ。海の家の屋根には雪がうっすらと残っています」

こちらは温暖な気候で知られる、知多半島の先端・愛知県南知多町。めったに積もらない雪。25日の内海海水浴場では、海沿いのベンチに雪化粧。

内海小学校では登校時には校庭の一部に雪がつもり、急遽午前中の授業が「雪遊び」に変わった学年も。

(児童)
「(Q.雪遊びはどう?)楽しい!雪最高!」

そして、岐阜県は今回雪の影響を大きく受けました。

(徳田早穂記者)
「歩道は非常に滑りやすくなっています」

岐阜市は24日に引き続き今シーズン一番の寒さ。最低気温は-2.4℃となりました。

そして、名神高速道路・関ヶ原IC付近では、24日昼前には車が動かなくなり、深刻な立往生が起きました。

「ああ、やっと家に帰れる」 14時間以上 立ち往生した運転手

(立ち往生した車の運転手・24日午後2時ごろ)
「関ケ原IC(下り線)の3キロ手前にいる。午前11時くらいに止まって1ミリも動いていない。どんどん積もっていて歩くのも困難な高さ。タイヤの半分くらい埋まっている」

関ヶ原IC付近では、24日午後2時の段階で上りで約270台、下りでは約500台が立ち往生しました。

(立ち往生した車の運転手・24日午後2時ごろ)
「飲み物は事前に買っておいたので大丈夫だが、食べ物まで買っていなかった。少し考えが甘かった」

ネクスコ中日本は、自衛隊や岐阜県の支援を受けながら除雪と立ち往生した車を最寄りのインターから降ろす作業を続け、上りは25日午前0時、下りは午前4時にすべて車の移動を終えました。

そして、立ち往生から開放された男性は、25日に改めて。

(立ち往生した車の運転手・25日)
「午後10時ごろにネクスコ中日本の人が来て、おにぎり2つとお茶をいただいた。その後、自衛隊とネクスコ中日本の人がスコップやそりなどで除雪をしていた。車が動き始めたのは、深夜1時半ごろ。ああやっと家に帰れると思って安心した」

この福井に向かっていたドライバーは、24日の午後10時まで車に救援物資も届かなければ情報もなく、不安な時間を過ごすことに。飴をなめてしのいだと言います。

結局、男性は14時間以上立ち往生。今回強く思ったことは…

(立ち往生した車の運転手・25日)
「どうしても仕事があったので、行かなければいけなかったが、予報をしっかり確認することと、そういう予報が出ているなら食品の備蓄や防寒着などをしっかり備えていくべきだと思った」

では、なぜ今回の立ち往生がおきたのか。
渋滞発生のメカニズムなどの研究で知られる「渋滞学」が専門の東京大学の西成教授に聞きました。

専門家「大動脈が動かなくなるという躊躇があったのでは」

(東京大学 先端科学技術研究センター・西成活裕教授)
「想定していた以上の雪が降ったことが大きい。それに対して、関係者がどういう判断をして対策をとったか。他の道路が止まった時にこれ(高速道路)を止めたら、大動脈が動かなくなるといった躊躇があったのではないかと思う」

去年1月に、新名神高速で丸1日以上続いた立ち往生でもそうでした。この時は、三重県から滋賀県にかけての下り線で66キロの渋滞が発生。

ネクスコ中日本などは「東西の大動脈を確保する観点から高速道路の通行止めに躊躇した」「関係機関との情報の共有不足だった」と検証結果をまとめました。

その後、ネクスコ中日本は国土交通省などとともに「名神・新名神冬期道路情報連絡本部」を設置し再発防止に努めてきましたが、今回も立ち往生は起きました。

西成教授は、関係者の改善努力は認めるものの、もう一段先の対策が必要と言います。

(東京大学 先端科学技術研究センター・西成活裕教授)
「大雪だから止めるのではなく、大雪になりそう(なら止める)という予防措置も大事。(通行止めの)基準を決めておいて、1時間あたりの積雪量が前の時間に比べてこれくらい増えたら止めましょうと決めるとやりやすい。大事なのは人の安全なので、予防措置は本当に重要だと思う」

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