京都アニメーション放火殺人事件で、娘を亡くした父親は25日、自宅で死刑判決の報に接し、ため息をついた。「やっぱりそうなるんですね」
これまで「娘を失った悲しみで十分。公判の行方に深い関心はない」と語ってきた。だが、実際に判決が出ると、複雑な思いが去来した。「死刑判決に満足する人はどれだけいるのだろう」。他の遺族の考えは尊重するとしつつ、「極刑を求めた遺族が望んだ形で死刑が執行された場合、後でその遺族が苦しむことにならないだろうか」と胸の内を明かした。
自身は法廷に足を運ばなかったが、報道で遺族と被告のやりとりを知って、そう思うようになった。「死んだ人は返って来ない。憎しみを被告にぶつけても、しんどさだけが募ってしまわないか」と話す。
遺族らが納得できるような謝罪の言葉は、被告から発せられることはなかった。「本当に謝罪するためには、自分のしたことを受け止めることが必要。公判の短い時間だけでは難しいのではないか」と推測した。