輪島―門前、続く断絶 国道249号中屋トンネル復旧めど立たず

天井を覆うコンクリートが崩落した中屋トンネル=輪島市門前町浦上(国土交通省北陸地方整備局提供)

  ●穴水迂回、所要30分が2時間

 輪島市の輪島、門前両地区を結ぶ国道249号の断絶が長期化の様相を呈している。複数箇所で崩落した土砂が道をふさぎ、能登最長の中屋トンネル(延長1.26キロ)では天井が崩落。門前側への物資供給や建物の応急復旧が遅れる一因となっている。発災から1カ月近くたっても車両がトンネルに近づくことさえできておらず、修復のめどは立っていない。

 中屋トンネルは、輪島、門前の境界付近に位置する「魔の坂道」と呼ばれる交通難所を解消するため、県が総事業費57億3千万円を投じて建設し、1993年に開通した。地震前は門前から輪島へ通勤、通学する多くの人が利用し、平日1日当たり約3千台が通行していた。

 しかし、1日の地震後、門前側から80メートル入った地点で内部を覆うコンクリートが崩れ落ちているのを国土交通省の派遣隊が確認。北陸地方整備局によると、現地で応急復旧作業を続けているが、車両が接近できないため時間がかかっているという。

 249号が不通となった現在、輪島の市街地と門前を行き来するには穴水側から迂回(うかい)しなければならない。このため、本来は30分程度の所要時間が、交通量によっては2時間近くかかることもある。

 門前の避難所で暮らす男性(71)は「大きな買い物はいつも輪島の街中だった。今は倍の時間がかかるし、移動する気力もない」と話した。輪島の市街地で働く住民の中には帰宅を諦めて職場に泊まり込む人もいるという。

 また、門前に支援物資を運ぶ車両などが全て穴水を通って門前へ向かうため、穴水―中島間の渋滞を引き起こす一因にもなっている。

 損壊した建物などの復旧作業にもしわ寄せが及ぶ。門前町浦上の真宗大谷派浄蓮寺の鳥毛敬三住職(73)は雨漏りなどの応急処置をしようと市内の業者に依頼したが、「トンネルがふさがれて移動に時間がかかるので行けないと断られた」と明かした。

  ●珠洲の大谷トンネルも

 珠洲市では、市中心部と北部の外浦沿岸を結ぶ国道249号の大谷トンネルでコンクリートが崩れ落ち、通行止めが続いている。北陸地方整備局によると、トンネル内でさらに崩落が発生する恐れがあることから、全体の被害状況はつかめていない。

© 株式会社北國新聞社