「やっと成果が目に見えた」飲酒運転摘発数青森県内ワーストの八戸署管内、31年ぶりに返上

 青森県八戸市と階上町を管轄する八戸署管内の飲酒運転の摘発件数が2023年は前年比2件減の71件となり、31年ぶりに県内ワーストを脱した。交通安全活動を長年続けてきた関係者は「やっと成果が目に見えた」「住民のおかげ」などと安堵(あんど)しつつ、「撲滅に向けさらに活動を続ける」と気を引き締めている。

 八戸署管内の摘発件数は1993年に826件だった。飲酒運転の厳罰化などに伴い減ってきたが、警察署別では2022年まで30年連続で県内ワーストだった。一方、23年の全県の摘発件数は349件(前年比49件増)で、青森署の78件(同16件増)が最多。八戸署の71件、弘前署の61件(同17件増)が続いた。

 八戸市は17年7月、階上町は18年4月に飲酒運転根絶を目指す条例を施行。17年に137人だった八戸署管内の摘発件数は、23年には約半分に減ったことになる。

 県内ワーストを脱したことについて、八戸署の三浦正人交通官は「『30年連続』が心に刻まれている団体の取り組みと、住民の協力と意識向上のおかげ。飲酒による事故は多発しており、悪質な違反については厳正・厳重に対処する」と強調。八戸市交通安全対策協議会(会長・熊谷雄一市長)事務局長を務める板橋千佳子・同市くらし交通安全課長は「団体と市民が同じ方向を向き、活動を長年続けた成果がやっと目に見えた形で、安堵している。ここまでの道のりを忘れず、今後も気を引き締めて取り組む」と語った。

 市条例制定のきっかけとなる署名集めに奔走した八戸地区交通安全協会の速水悦子会長は「警察や安協各支部はじめ『みんなの力』だと思う。もっと減らせるはず。飲酒運転をゼロにするため皆さんと手を携え活動を続けたい」と話す。

 飲酒運転根絶の機運を高めようと、市交通安全対策協議会が18年度に始めた飲酒運転防止講座の実施回数と受講者数は、20年度の17回・734人が21年度は9回・225人とコロナ禍では減少した。

 だが22年度は10回・515人と再び増加に転じ、本年度は15回目の講座が16日に八戸工業高等専門学校5年生約100人を対象に行われ、年間の累計受講者数は669人となった。終了後、上條滉斗(ひろと)さんは「飲酒運転は絶対にしない」と語った。高専5年生向けの講座は31日にも行われる。

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