医師不足、偏在…厳しい状況打開へ派遣など連携協定 弘前大と青森県病、県 新年度に会議設置へ

3者協定を締結した弘大の福田学長(右から2人目)、宮下知事(同3人目)、吉田病院事業管理者(同4人目)ら

 弘前大学、青森県立中央病院、県の3者は26日、医師派遣や配置に関する連携を目的に、協定を締結した。市町村などから寄せられる医師派遣の要望を共有し、地域への配置を協議する会議を2024年度に設置する。医師を派遣する弘大と県病、支援の要望を受ける県が共同で全県の医療事情を把握し、効果的な医師配置につなげ、地域医療の維持・確保を目指す。

 県庁で開いた協定締結式には、弘大から福田眞作学長と同大大学院医学研究科の廣田和美科長、県からは宮下宗一郎知事、吉田茂昭病院事業管理者、永田翔健康福祉部長が出席。福田学長、吉田管理者、宮下知事が調印を交わした。

 医療ニーズや人口構成などを基に医師数の偏りを示す青森県の医師偏在指標は、岩手県に次ぐ全国ワースト2位。6地域ある2次保健医療圏のうち八戸、西北五、上十三、下北の4地域が「医師少数区域」に該当するなど、青森県の医師不足は全国の中でも厳しい水準にある。県や弘大、県病はこれまでも、それぞれが医師派遣の要望を受けてきたが、3者が同じ場で情報共有する機会がなかった。

 今回の協定は、県が弘大や県病に提案して実現した。新設の会議では、地域の医療体制、医師派遣の要望状況、弘大や県病の医療事情や見通しを3者が共有し、医師の配置を検討する。現在、具体的な会議の運営方法を詰めている。

 調印後、宮下知事は「3者が連携して医師派遣への議論、対話をするテーブルを設けることができた。この取り組みが2年、3年と進んでいく中で、地域の医療水準向上に貢献する大きな転換点になる」と期待を寄せた。

 福田学長は「先の話になるが、医師が県内で臨床や研究など専門的なキャリアを積み、活躍できる道筋も、ぜひ会議の中でつくっていけたら」と医師の県内定着に向けた意欲を語った。吉田管理者は「県病が、へき地医療や医師不足地域への支援要望に全て応えるのは、難しい状況だった。人口減少が進む中で、県全体で将来像を共有しながらスムーズな医師派遣につなげるという、時宜を得た取り組みだ」と語った。

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