木村氏キックバック236万円/自民・安倍派裏金「からくり知らず」 報告書訂正へ

政治資金パーティー裏金事件を巡り、記者会見で謝罪する木村氏=27日午後、弘前市

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、安倍派(清和政策研究会)所属の木村次郎衆院議員(青森県3区)は27日、弘前市内のホテルで記者会見を開き、派閥から2018~22年の5年間で計236万円のキックバック(還流)を受けていたことを明らかにした。近く政治資金収支報告書を訂正する。

 木村氏は還流について関知していなかったとし、「私自身と清和研、自民党全体に批判、お叱りがあり、多大な政治不信を招いたことに深くおわび申し上げます」と陳謝した。「政治に対する信頼回復に鋭意努めたい」と議員活動の継続に意欲を見せ、離党や議員辞職は否定した。

 派閥では所属議員ごとにパーティー券の販売ノルマがあり、ノルマを超えた分を還流する運用があったが、還流分を派閥も議員側も政治資金収支報告書に記載してこなかった。この仕組みについて木村氏は「問題が発覚して秘書らに確認して初めて知った。そういうからくりがあったこと自体知らなかった」と語った。

 現在当選2回の木村氏の販売ノルマは18年100万円、19年110万円、20~22年が各60万円。売り上げは秘書が派閥の口座に振り込んでいた。これに対し還流額は18年78万円、19年14万円、20年82万円、21年ゼロ、22年62万円。派閥からの連絡を受けて、秘書が現金を取りに行っていたという。

 収支報告書に不記載だったことについては、「慣例でやっていた」と事務所の担当者が話しているという。派閥から何らかの指示があったかは確認できなかった。

 東京地検特捜部は一定額以上の事件に絞り込んで、26日までに政治資金規正法違反の罪で計10人を立件したが、木村氏は自身の事務所関係者も任意聴取を受けたことを明らかにした。

 還流分の使い道について木村氏は「経理担当者が事務所で必要な経費に使っていた」とし、詳細を精査中。自身の政治団体の収支報告書の訂正は、近く予定される派閥の報告書訂正を受けて行う方針。

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