「目視のみ」現場が判断/レール摩耗検査で改善指示 弘南鉄道会見

会見で、改善指示の内容や今後の取り組みなどについて説明する船越常務(右)と成田社長=27日午後、弘南鉄道本社

 弘南鉄道は27日、昨年8月の大鰐線脱線事故やレール摩耗による大鰐・弘南両線の長期運休で、国土交通省東北運輸局から7項目の改善を指示されたことを受け、青森県平川市の本社で記者会見を開いた。レール摩耗に関する年1回の定期検査について同社側は、現場の担当者が、週1回の線路巡視で摩耗に気付いたレールを計器測定しているため、目視だけでいい-と独自に判断していたと説明。上層部はそれを把握しておらず、安全管理が現場任せだったことを認めた。

 定期検査に関する現場の独自判断は、少なくとも2019年度以降続いてきたという。同社によると、レールの摩耗が激しいポイント(分岐点)部分については、社内規則で計器測定するよう求めているが、船越信哉常務は会見で「(ポイント以外を含めた)全線で測定器を使うべきだった」と釈明した。

 長期運休時に全てのレールを計測しており、現在は安全性に問題はないという。同社は改善策として、JR東日本から技術支援を受け、現場職員や管理職の教育を徹底する考えを示した。成田敏社長は「速やかに改善し、安全運行に努める」と述べた。

 東北運輸局の改善指示では、線路巡視や列車の揺れを測定する検査を冬期間に休止するなど、自社で定めた鉄道施設の管理基準を守っていないとの指摘が多くあった。船越常務は「退職などのため経験を積んだ検査員が少なく、(安全管理に関する)知識や認識が不十分になっている」と説明。3月までに保守管理の強化策をまとめ、来年度から取り組むとした。

 関連して、レールのつなぎ目の間隔調整の遅れや、検査報告を期間内に提出できなかった理由に、社内の人員不足を挙げた。「求人を出しているが、なかなかうまくいかない」と語り、外部への業務委託などで、必要な検査や整備に遅れがないよう務める考えを示した。

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