23年の県内企業、休廃業345件で3年ぶり増 人件費・原材料の高騰響く

 東京商工リサーチ山形支店によると、2023年に休廃業、または解散した県内企業数は前年比37件増の345件で、3年ぶりに増加に転じた。新型コロナウイルス禍に実施された各種支援策が縮小する中、人件費や原材料価格の高騰などが進み、中小企業の生き残りは厳しさを増していると同支店は分析する。

 東京商工リサーチが保有する企業データベースを基に集約した。法的整理、私的整理の倒産以外で事業活動を停止した企業を「休廃業・解散」と定義し、調査は2000年から実施している。

 休廃業・解散の企業件数はコロナ禍初期の20年に過去最多の446件まで増加した。その後は各種支援策が経営者の事業継続判断を先送りした例もあったとみられ、21、22年は減少した。

 産業別で見ると、飲食業や娯楽業などを含むサービス業他が95件で最多となっている。建設業76件、小売業52件、製造業47件が続く。代表者の年齢は、70代が最も多い45.2%で、60代以上が87.3%を占めた。

 23年の倒産件数は前年比3件増の50件。強制的に市場から退出する倒産と違い、自主的判断の休廃業・解散の決算状況は、黒字の場合も多い。ただ、23年の345件を損益状況別で見ると、赤字企業の割合が60.5%で過去最高を更新した。01年には20.5%だった赤字企業の割合は年々上昇傾向となっており、同支店は「企業支援は大切だが、抜本的な事業再構築を伴わない安易な延命は負債の増大を招くもろ刃の剣にも成りかねない」と指摘している。

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