RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
「高知にやってきました。広島を午前5時に出て、4時間かかりました。前回は 上本崇司 選手の自主トレに密着させてもらいましたが、きょうは 坂倉将吾 選手の自主トレに密着してみたいと思います」
高知市で自主トレを行っている 坂倉将吾 。恒例の、“ただの趣味” だというサッカーで体を温めると、いよいよ本格的に練習を開始しました。この日の最高気温は15℃。太陽が出ればかなりの暖かさを感じられる気候で、順調に体を仕上げていました。
そして、坂倉選手の誘いもあり、わたしもシャトルランに参加しました。
広島カープ 坂倉将吾 選手
「使える画(映像)を撮らないと」
天谷宗一郎 さん
「ああ。速い! そんなに速いの、マジ!?」
走り方がおじいちゃんみたい…、かかとから走っちゃうんですよね。
天谷宗一郎 さん
「きつい。めちゃくちゃきつい」
坂倉将吾 選手
「天谷さん、あと2本ある」
天谷宗一郎 さん
「いや、もう無理よ」
さらに、その後も下半身のトレーニングは続きます。これは、一緒に自主トレを行っていた西武の 炭谷銀次郎 選手考案のメニュー。ふだんできない練習を参考にできるのも他球団の選手と自主トレをするメリットです。
坂倉将吾 選手
「(笑)ここで(スタート位置)に帰ります」
天谷宗一郎 さん
「(倒れ込む)全然、コントロールできんよ」
そして、ボールを使った練習です。キャッチボールひとつとっても、ミットの使い方や下半身の力の伝わり方など細かく、動作確認を非常にていねいにやっていた印象です。
午後からはバッティング練習。トス上げの手伝いをさせてもらったのですが、この “短いバット” を使った練習が今シーズン、坂倉選手が行う新たな試みです。詳しくは、このあとのインタビューで解説してもらいました。
この自主トレ取材で、坂倉選手の状態のよさにわたし、すごく驚きました。バッティングを見てください。軽々(ホームラン)です。力感なく振っているんですけど、打球がよく伸びるんです。3球連続ホームラン。今シーズンの新たな試みの成果が、自身でも驚くほど早すぎる仕上がりを見せています。
RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
「きょう一日、本当にありがとうございます」
広島カープ 坂倉将吾 選手
「こちらこそ、ありがとうございました」
天谷宗一郎 さん
「久しぶりの高知、やっぱり暖かいですね。日差しも…」
坂倉将吾 選手
「…強くて、はい」
天谷宗一郎 さん
「今シーズン、2024年の自主トレのテーマ。こういうことをやりたいっていうところから教えてください」
坂倉将吾 選手
「守備に関しては去年終盤にかけてできていたことをより確実にというか、より自分のものになるように、キャッチボールだったりとかそういうものも大切にしながらやっている感じですね。石原(慶幸コーチ)さんにずっと基本動作を教えてもらいながらやって、それが試合で形になってきたっていうので、『あっ、これでいいんだ』っていう、自分の進む方向というのがすごく明確になってきたので」
天谷宗一郎 さん
「キャッチボールを見ているときに最初、『あっ、石原さん?』みたいな…」
坂倉将吾 選手
「よく言われます(笑)」
天谷宗一郎 さん
「体の使い方がすごく似ている。それが手応えになっているということですね」
坂倉将吾 選手
「そうですね。すごくいい方向に行っていると思っているので、これがまた、できなくなったりとか、慣れてきて、やり方が違ってきたりっていうのがたぶん、必ず出てくると思うので、そういうことがあったときに “自分で戻れる場所” を作りながらやっていけたらいいんじゃないかなと思っています」
次は、今オフから新たに取り組むバッティング練習の話題へ―。わたしが特に気になった “短いバット” を使ったティーバッティングについて深掘りしました。
天谷宗一郎 さん
「あのティーバッティングは何なんですか? バットを持ってきてもらったので、実演してもらいたいんですけど」
坂倉将吾 選手
「前まではふつうに右手で打ったりとか、左手で打ったりとかしていたんですけど、オフに、自分の体がどうやったら力が入って、どうやったら力が入らないのか
っていうのをチェックしてもらう人に出会って、チェックして、そこでこういうドリルをしてから入った方がいいんじゃないかっていう話で始めたんですけど」
4種のティーバッティング
坂倉選手が行うのは、4種類のティーバッティング。自身の、最適な体の動きをするための基礎練習になります。
坂倉将吾 選手
「まず最初、(右の)片手でこれですね」
天谷宗一郎 さん
「それ、何ですか? 初めて見たんですけど」
(1)手の向きを意識
坂倉将吾 選手
「これはインコースを打つイメージですね」
天谷宗一郎 さん
「よくみんなが言う “縦振り” のような?」
坂倉将吾 選手
「そうですね。“縦振り” のイメージで。こうはなりたくないので。ぼくが力が入るところもこういう力の入り方らしくて、手首(の向き)がこうなっていたり、まっすぐだといけないので、右手はこういうイメージですね」
天谷宗一郎 さん
「人によってそれぞれ?」
坂倉将吾 選手
「はい、違うので。次は、これです。これ(今の手首の向き)のまま振る。振るというより肩で。だからヘッドがこういうふうにならない」
(2)ヘッドの意識づけ
天谷宗一郎 さん
「なるほど」
坂倉将吾 選手
「ただのイメージなので」
天谷宗一郎 さん
「意識づけみたいな…」
坂倉将吾 選手
「こういうふうに使うイメージです。で、次がこうですね」
天谷宗一郎 さん
「インサイドのイメージ?」
(3)足の使い方
坂倉将吾 選手
「いや、これは、ぼくは右足が前へ、左足が後ろの方へが、力が入るところなので、こういうふうに打つのがいいと」
天谷宗一郎 さん
「へえ。次は、横からの?」
坂倉将吾 選手
「左手ですね。左手は遠回りしていって、ここで打つイメージですね。ここで、真横から(ボールが)来るのをセンターに打つイメージです」
(4)左手の使い方
天谷宗一郎 さん
「それはどういう意図?」
坂倉将吾 選手
「これはもう左手の使い方」
天谷宗一郎 さん
「そのほうが体が使えるという…」
坂倉将吾 選手
「はい」
自身の体を最大限に活かすために考案された坂倉選手専用ドリル。早くもその成果が出ているのか、キャンプ前にしてかなりの状態に仕上がっていました。
この練習を取り入れたきっかけは、昨シーズン、常につきまとっていた体の違和感からでした。
坂倉将吾 選手
「ずっと、なんか体に力が入らないなというので。打っても強さが足りなかったりとか、うまく引っかからないなとか、そういうのがいっぱいあって、でも、自分でどうしたらいいか、ちょっとわからなかったので。そのジムには前からというか、ちょくちょく行っていたので…」
天谷宗一郎 さん
「それは東京にある?」
坂倉将吾 選手
「東京にあります。そこに『打ち方を全部、ゼロにして最初から自分はこう打った方がいいっていうのを教えてほしい』って言って、取り入れました」
成長のため、ゼロから取り組む打撃の試みと、昨シーズンを終えた守備の手応え、
この自主トレ取材でわたしが見たのは、坂倉選手のチームの主力としての自覚でした。
天谷宗一郎 さん
「2024年、どういうシーズンにしていきたい?」
坂倉将吾 選手
「まずは、けがをしないことが1つあって。その中で1人の打てる男がいなくなったので、そこの穴埋めまではいかないと思いますし、若い選手がいっぱいいるので1人でどうにかしようっていう思いはないんですけど、1つのピースとなって埋めていけたらなっていう思いもありますし、ちょっと無理してでも試合に出続けるような覚悟をもってやっていきたいなと思っています」
◇ ◇ ◇
RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
まずゼロにしたって聞いたときにすごく驚きました。やっぱり、あれだけ周りからバッティングのセンスを認められていたんですよね。そういうことがありながらもゼロにして今シーズンにかける思いっていうのが、この自主トレを見に行って、すごくひしひしと伝わってきました。
石田充 アナウンサー
本人も「もう一度、3割バッターへ」という思いが強いということはよく言っていましたけれども、本当に優勝のためには欠かせない8年目。
天谷宗一郎 さん
本当に坂倉選手が全試合に出るぐらいの気持ちでチームの先頭を走っていってほしいなと思います。
石田充 アナウンサー
ただ、會澤翼 選手も護摩行をしながら、ことしにかける思いを語っていました。そうしたキャッチャー陣の切磋琢磨がまたチームの層を厚くしてくれるんだと思います。
(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビより)