2023年10月「謎の津波」小さい津波が重なり最大60cmに 現象観測、解明へ前進

 2023年10月、大きな地震がないのに伊豆・小笠原諸島や関東、沖縄にかけて観測された津波について、東京大学や弘前大学大学院理工学研究科の前田拓人教授(地震学)らでつくる研究チームが、小さな津波が連続発生して重なり、最大約60センチの津波になっていたことを明らかにした。

 この現象を観測したのは世界初。研究成果は1月21日、米学術誌「ジオフィジカル・リサーチ・レターズ」に掲載された。

 ただ、小さな津波が発生した理由は分かっていない。津波の発生とほぼ同時刻に、海底火山「孀婦(そうふ)岩」の周りでマグニチュード4~5の中規模地震が繰り返していたが、この規模の地震では津波は発生しないとされる。

 研究チームは未知の海底変動現象が、大きくなる前の津波と地震を引き起こした可能性があるとみて調査を続ける。

 東大地震研助教だった前田教授は、今回の研究では地震や津波に伴う海中の音波を調べた。「地震の揺れ以外にも津波を発生させるメカニズムについて研究を重ねたい」と話した。

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