存続へ利活用で意見交換 砺波の旧金岡家住宅「かいにょ苑」 県建築士会支部が初の見学会

かいにょ苑の文化財的価値を学ぶ出席者=砺波市豊町1丁目

  ●宿泊施設、おばけ屋敷、自習室… 文化財的価値、認識深める

 県建築士会砺波支部は28日、砺波市豊町1丁目の市指定文化財の旧金岡家住宅「かいにょ苑」で見学会を初めて開いた。建築士や市民ら15人が砺波平野の伝統的茅葺(かやぶ)き屋根農家建築の文化財的価値に認識を深め、車座になって建物を存続するために利活用のあり方で積極的に意見を交わした。

 出席者は「砺波とかいにょ苑の未来」をテーマに意見を交わし、存廃ありきの議論でなく、市指定文化財から登録文化財にして他の利活用を探ることに賛意を示す意見が出た。

 インバウンド(訪日外国人)らに人気の古民家を活用した宿泊体験施設をはじめ、初期投資を抑えてかいにょ苑の周知を兼ねて気軽に若者らを呼び込む「おばけ屋敷」や、学生時代の視点で自習室といった活用の提案があった。コスプレ撮影や法事などでの利用を求める意見も出た。

 かいにょ苑の場所や存在を知らない市民が多いとして周知を求める声や、利活用から建物の価値を見いだすべきとの意見もあった。

 市教委の野原大輔生涯学習係長が1871(明治4)年建築で寄棟型の茅葺き屋根を残す旧金岡家住宅の文化財的価値と古民家の再生事例を紹介した。建築文化研究室一級建築士事務所の天野一男所長がかいにょ苑を通した民家の特徴などを伝えた。冒頭、県建築士会の南部稔砺波支部長があいさつした。

 かいにょ苑は、市公共施設再編計画に基づき、市が昨年8月から施設のあり方の検討を続けており、県建築士会砺波支部は昨年12月に建物の存続や積極的、日常的に利活用し市民の体験や学習空間を残すことを市教委に提言。同支部は原点に立ち返り、かいにょ苑を体験して議論を深めようと初めて見学会を開いた。

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