アマメハギ「初めて」中止 能登町4集落「やむを得ず」

玄関で「アマメー」と叫ぶ鬼役の児童。今年のアマメハギは地震で中止となる=2023年2月、能登町秋吉

 能登町秋吉など4集落で2月3日に行われる国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の伝統行事「アマメハギ」が今年は中止されることが24日、集落代表者らへの取材で分かった。地震で避難生活を送る住民もいるため決断したという。コロナ下でも簡略化しながら続けてきた行事だが、地元住民は「やむを得ない」と残念そうに話した。

 アマメハギは家内安全と豊作を願う子どもたちの厄よけ行事。鬼役の小中学生が「アマメー」と叫びながら家々を回り、火鉢に長く当たるとできる火だこ「アマメ」をはぐと脅かし、住民の怠け心を戒める。能登町では秋吉、河ケ谷(かがたに)、清真(きよざね)、宮犬の4区で毎年、節分の夕方から夜にかけて行われ、2018年に無形文化遺産に登録された。

 秋吉公民館長で、秋吉地区アマメハギ保存会長の橋本忍さん(73)によると、13日に開催を協議する予定だったが、地震の影響で中止となり、各区の判断となった。清真区の坂上久男区長(69)は「家屋も道路も崩れており、子どもの安全を考えると到底できる状況じゃない」と語った。

 行事の歴史を伝える同町秋吉の「能登の来訪神行事アマメハギ伝承館」も屋内にガラスが散乱し、鬼の面や建具も被害を受けた。河ケ谷区に住む橋本会長は「アマメハギが中止になるのは私が知る限り初めて。子どもたちには伝統を続けられなくて申し訳ない」と話した。

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