青森ねぶた祭実行委員会は29日、青森市のねぶたの家ワ・ラッセで、大型ねぶた運行団体の管理や安全運行をテーマに講習会を開いた。昨年の青森ねぶた祭で、運行団体の一つで運行中にスタッフを殴打する問題が発生したことを受け、再発防止に向けた取り組みとして開催。専門家が、自由度の高い青森ねぶたは事件・事故の要因を生みやすい環境にあるとして、幅広いリスクを想定した事前準備の大事さを強調した。
危機管理が専門の青森中央学院大学・大泉常長教授は、青森ねぶたの特徴として「行政や警察の介入が限定的で市民が自由に参加できる分、リスクも背負っている」と指摘。交流サイト(SNS)の発達で、長所も短所も世界中に発信されやすい環境へと変化していることを念頭に「自分たちが、常に見られていると覚悟して行動を」と訴えた。
青森ねぶた運行団体協議会の山内誠会長は、路上で運行を指揮する「扇子持ち」の役割や心構えをテーマに講演。扇子持ちの責任の大きさや技術を解説するとともに、接触事故や運行の遅れを発生させないためには「扇子持ちだけでなく、運行責任者や無線担当者のサポートが大事」と強調した。
山内会長は、参加した運行団体に向けて「どの団体でもトラブルが起こり得るという意識を持ち、講習会の内容を各団体の多くの人と共有して、運行に向かってほしい」と呼びかけた。
講習会は大型ねぶた、大太鼓の運行団体24団体の責任者ら90人が参加した。昨年の祭りでは、24団体のうち青森青年会議所の運行支援者が、ねぶた運行中に引き手を殴打する問題が発生。殴打行為を撮影した動画がSNSを通じて拡散した。同会議所は、今夏の祭り参加自粛を決めている。