エアロセンスら3社の提案、中小企業イノベーション創出推進事業に採択。第一種型式認証に対応した小型VTOL機の開発を目指す

同事業は高い技術力を持つ国内企業による先端技術の社会実装の促進を図ることを目的としたもの。なお、2027年度末までの事業期間における国土交通省からの交付額の上限は8.6億円を予定しており、3社は同取り組みを通じて、国内のインフラ点検の改革を目指すとしている。

事業計画名

  • 公募テーマ:デジタルツインを活用した公共構造物(道路・河川)の維持管理手法の技術開発・実証
  • 公募テーマ内容:デジタルツインによる公共構造物(道路・河川)の状態把握・維持管理手法の開発
  • 事業計画名:災害に屈しない国土づくり、広域的・戦略的なインフラマネジメント技術の開発・実証

事業概要

同プロジェクトの実施と採択の背景

高度経済成長期に多く建造したインフラ施設の老朽化にともない、安全を守るためインフラ機能を維持させる点検業務の重要性が増す中、その作業に携わる人材不足の解消や効率化が喫緊の課題となっているという。道路インフラの点検をドローンで行う場合、道路上でのドローン飛行は第三者上空となるため無人航空機レベル4飛行(有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行)に対応した機体が必要であること、長距離・広範囲の点検では長距離飛行が可能なドローン機体と通信手段、運航管理技術が必要とされる。

2022年12月に施行された航空法の改正やデジタル庁によるアナログ規制撤廃の動きにより、ドローンを活用したインフラ点検の社会実装が進む中、この課題解決にあたり国内初となる垂直離着陸型固定翼ドローンを開発したエアロセンス、ドローン運航管理技術を有するKDDIスマートドローン、道路インフラ管理技術を有する首都高の提案が採択された。

事業内容

エアロセンス、KDDIスマートドローン、首都高の共同研究を通じてドローンの機体システム、運航管理システム、実運用性について検証し、ドローンのネットワークRTK(Real Time Kinematic:固定局と移動局の受信機で複数の衛星から電波を受信して位置情報を得る技術)による高精度飛行および遠隔カメラ映像モニタリングによる道路状況把握の実用性を実証し、道路上(高架下やトンネル等除く)の運用実用化に向けた要件を共同で策定する。主な事業内容は以下のとおり。

  • 第一種型式認証に対応した長距離飛行が可能な小型の垂直離着陸型固定翼ドローン機体の開発
  • ドローン上空より取得した撮像・点群データ等を用いた道路三次元モデルの生成、点検AIによる道路異常/補修箇所の検出システムの開発
  • セルラー通信と低軌道衛星のハイブリッド通信による、セルラー通信圏外地帯での長距離飛行
  • 道路・交通状況モデル/点検結果を道路管理システムに連携し、道路管理システムによる一括管理
  • 離発着、充電などが可能なドローンポートの開発

なお、同事業においてはエアロセンスが保有する技術を社会実装するために必要な連携を行うため、3社間で共同研究に係る契約書を2024年1月30日に締結した。

ドローンを活用した道路インフラ点検イメージ図

各社の役割

エアロセンスは垂直離着陸型固定翼型ドローンをはじめ、さまざまな用途別の機体を開発・量産モデルの販売および運用をしており、ドローンで撮影したデータの管理・3次元化・ GPS 解析を行うクラウドサービスも自社で開発し提供している。

KDDIスマートドローンはモバイル通信を活用したプラットフォーム事業、用途別ソリューション事業、スクール事業をトータルサービスとして一気通貫で提供できる国内有数の企業だ。首都高は交通運用およびその維持管理を行う道路インフラ事業者である。

ドローン関連事業は機体開発などの技術やサービスだけでなく、各用途や目的に精通した事業コンサルタントと運用のオペレーターが協働することにより、課題解決のために高い真価を発揮できる。そのため、3社が協働しインフラ点検のトータルソリューションを提供することで、今回採択された中小企業イノベーション創出推進事業を通じて国内のインフラ点検事業の改革に貢献していくとしている。

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