「胃を圧迫して、そんなに食べられない」 能登半島地震後に自宅や車中泊で過ごす被災者 多くの市町で全容把握には至らず

能登半島地震の被災地では避難所ではなく、自宅や車中泊で過ごす被災者の数や生活状況をどう把握するのかが大きな課題となっています。対応に悩む現場を取材しました。

被災した住宅を1軒1軒訪ね歩く彼らは、石川県輪島市とその支援に入ったほかの県の社会福祉協議会の職員です。

損壊した住宅や車など、避難所以外で生活をする被災者の数や場所を把握するため、調査を進めています。

(自宅で暮らす住民)
「1人の方が楽。好きな物も食べられる」

3週間以上、車中泊続けているという男性は。

(車中泊をする住民)
「疲れは出ている。車の中にいたら体勢に無理がかかるから胃を圧迫して、そんなに食べられない。体重は結構落ちていると思う」

見回りをする職員らは、避難所にいないこうした被災者の健康管理に危機感を募らせます。

(社会福祉協議会の職員)
「周りは誰もいない。体調不良になった場合、どのようにSOSを出せるのか」

しかし、1月26日の時点で、甚大な被害を受けた能登地方の9つの市町は、いずれも自宅や車にいる被災者の総数を把握できていません。

石川県は、SNSアプリや電話で避難場所を登録するよう呼び掛けていますが、1月27日時点での登録者数は約6000人。全容把握には至っていないとみられます。

(社会福祉協議会の職員)
「生活を支えるという次に、情報を把握する人手が全然足りていないのが現実にあると思う」

こうした中、石川県七尾市では。

(宅配クック123 七尾店・川口彩由美店長)
「弁当をお持ちしましたので、召し上がってくださいね」

(90代男性)
「テーブルの上に置いておけば…ありがとう」

高齢者向けの弁当宅配店で店長を務める、川口彩由美さん。地震のあとも自宅で生活を続ける人の見守り役となっています。

現在は避難所に身を寄せる奥村敬子さん86歳。地震の後も自宅に留まっていて、行政も所在を把握できていませんでしたが、顧客の安否確認をしていた川口さんが見つけ、所在が確認できたといいます。

(七尾市高齢者支援課・春木千恵美課長補佐)
「(七尾市は)高齢者・65歳以上が1万9000人いて、個別の対応が現状でも難しい状況。救急車を呼んでいただいた事例も聞いておりますし、緊急対応をしていただいて助かっている」

(宅配クック123 七尾店・川口彩由美店長)
「誰にも気付かれないで納屋で倒れて大けがをされていた方もいたし、元日から何も食べていない方もいて、地域と連携して寄り添う形で配食を続けたい」

被災者に対応するための手が足りない中、その部分を補う取り組みも始まっています。

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