原爆症認定基準の緩和「難しい」被団協との定期協議で厚労大臣

日本原水爆被害者団体協議会などと厚生労働大臣の定期協議が29日、開催されました。原爆症認定基準の緩和について大臣は「難しい」と答えました。

日本被団協、原爆症認定集団訴訟の原告団・弁護団と厚生労働大臣は2010年以降、おおむね年に一回のペースで定期協議を開催していて、今回は11回目です。

協議の場で被団協側はかねてから提案している原爆症認定基準の緩和をあらためて要求しました。

具体的には
●がんではない疾患の認定基準を悪性腫瘍と同様の基準に変更すること
●狭心症、脳梗塞、甲状腺機能亢進症を積極認定の対象に加えること
●要医療性を積極的治療行為に限定せず経過観察が必要な場合も含めること
などです。

武見厚生労働大臣は「新しい科学的知見の集積などがない中で、要件をさらに緩和した基準を設けるということは大変残念ですが難しい」と答えました。

認定基準の改定は2013年が最後で今に至ります。

被爆者が原爆症の申請を却下されたため起こした集団訴訟では、被爆者の勝訴が相次ぎ、司法判断と行政認定の乖離が浮き彫りになりました。弁護団は、要求が実現すれば、乖離は相当程度埋めることができると主張。「申請の却下処分に不服でも裁判をすること自体が難しい被爆者も後を絶たない。」などと訴えました。

また被団協の箕牧智之代表委員は「残された数少ない被爆者に温かい手を差し伸べていただくことを望みます。」と訴えました。

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