松くい虫過去最多170本/夏場の高温影響か

 青森県は30日、昆虫が運ぶ病原体でマツが枯死する「松くい虫」について、2023年シーズン(23年7月~24年6月)は12月末時点で計170本の被害木が確認され、既に過去最多を更新したことを明らかにした。夏場の高温で樹勢が弱まった上、病原体を運ぶ昆虫の活動期間が長くなり被害が増えたとみられる。

 松くい虫はマツノマダラカミキリという昆虫が病原体の線虫「マツノザイセンチュウ」を木に運ぶことで感染する。これまで県内で被害が最多だったのは21年シーズンの149本。被害状況は県庁で開いた被害対策協議会で報告した。

 深浦町では15年以降継続的に被害が見られる広戸・追良瀬地区の広い範囲で発生。隣接する深浦地区のほか、今季初めて同地区の南側に接する横磯地区で被害が確認された。県林政課は被害は一定の地域にとどまっており、拡大しているわけではないとみている。被害木や周辺の枯死木は伐倒・燻蒸(くんじょう)で処理する。

 23年6~10月に県内92カ所で行ったマツノマダラカミキリ生息調査では鯵ケ沢町北浮田地区で初めて幼虫が捕獲され、24年4~6月に重点的に監視する方針を確認した。18~20年に被害があった南部町では、被害木やカミキリの成虫・幼虫は確認されなかった。

 同課の工藤真治課長は「県内の被害が最多となる中、県境に近い(岩手県)二戸市で被害が拡大し予断を許さない状況。広域的に連携しマツやナラの森林を守っていきたい」と話した。

 「ナラ枯れ」はこれまで計2万4619本の被害が確認されていることも報告した。

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