ペットにもフードバンク 鹿沼「わんにゃん応援団」が開設 不妊手術条件に餌提供

寄せられたペットフードや飼育グッズを掲げる松田会長

 犬猫の殺処分ゼロを目指す一般社団法人「栃木・わんにゃん応援団」(栃木県鹿沼市西茂呂4丁目)はこのほど、「ペットフードバンク」を開設した。ペットの死亡などにより余った未開封の餌を募り、生活に困窮する飼い主などに無償で提供する。

 不妊・去勢手術を受けたことを条件としており、フードロスだけでなく無際限の繁殖を食い止め、飼い主の餌やりの負担を抑える狙いがある。全国でも珍しい取り組みという。

 同法人は2015年設立。犬猫の保護活動を行う県民有志で組織し、市内で毎月里親会を開くなどしている。活動を続ける中、飼い主とペットを巡る状況をより良くするための支援ができればと、フードバンクの取り組みを思い立った。

 特に問題意識を持つのが猫だ。猫は繁殖力が強く、妊娠期間2カ月で1匹当たり平均5匹を出産、子猫も生後6カ月で繁殖可能になる。1匹のメス猫を放置しておくと、3年後には2千匹以上に繁殖するという試算もあるという。

 多くの猫を抱える多頭飼い家庭は、餌代によって家計が逼迫(ひっぱく)することも多い。野良猫を地域のボランティアが世話する場合にも餌やりの経済的な負担は大きい。同団体にも毎月5件ほどの相談が寄せられているという。

 フードバンクでは個人やメーカー、ペットショップなどから、未開封・未使用のフード、トイレ砂、おもちゃ、ケージなどの飼育グッズを募っている。

 支援対象は猫をメインに、犬の飼い主も想定。多頭飼い家庭などの生活困窮者、「地域猫」へ餌を与える地域の責任者らを想定する。同法人が飼育状況などを確認した後、順次配布する。不妊手術には市が犬5千円、猫4千円の助成を行うが、経済状況次第では同法人が手術費用を立て替える。

 昨年12月に受け入れを開始したところ、既に20点ほどが寄せられ、年金生活者など2世帯に配布した。松田倭一(まつだまさかず)会長(81)は「月1トンの餌が集まるようにしたい。不幸な犬猫がいなくなるよう周知に努める」と協力を呼びかけている。

 グッズの送付先、方法など詳細は松田会長へ。(問)松田会長090.3239.1646。

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