集団避難の珠洲市民 買い物バスで「発散」

買い物袋を持ってバスを降りる避難者=富山市内のホテル

  ●富山の商業施設へ

 能登半島地震で被災した珠洲市民が集団避難している富山市のホテルで30日、市内の商業施設と往復する買い物バスが初めて運行された。希望した11人がバスに乗り込み、日用品や飲み物などを買い物袋いっぱいになるまで購入した。元日の地震発生以来、久々に避難所から外出した人もおり、買い物を満喫してリフレッシュした。

 晴天の下、避難者を乗せたマイクロバスは、滞在先のホテルテトラリゾート立山国際から、約40分かけて富山市上袋のアピタ富山店に到着した。滞在時間は2時間で、避難者は薬局や日用品・雑貨売り場、100円ショップを巡り、靴下やのどあめ、爪切りなどを購入した。

 出村紀美男さん(76)=珠洲市大谷町=は、じっくりと品定めして新しい長靴を買った。被災前は屋外でグラウンドゴルフを楽しんでいたが、今はなかなか外に出る機会がない。久々の遠出に「やっぱ外出んとダメや。気分転換になった」と笑顔を見せた。

 大野勇さん(76)=同市片岩町=は肌着やペットボトル飲料を詰めた袋を手に「外出たらストレス発散や」と晴れやかな表情。同じ部屋の避難者には、あんこ餅を土産に買ったという。

 バスは、自家用車がなく遠出できない人のため、避難所運営に当たる富山市が企画した。次回の運行は未定で、避難者からは定期化を望む声が上がっている。

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