佐世保・淀姫神社「ヤモード祭り」 大しめ縄に願い込め

大しめ縄を架けるヤモードと氏子ら=佐世保市、淀姫神社

 長崎県佐世保市松原町の淀姫神社(山口毅宮司)で28日、江戸時代から約400年続いているとされる県指定無形民俗文化財「ヤモード祭り」があり、五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全、子孫繁栄を願った。
 地域の人によると、冬の間「山の神」として山に戻っていた「田の神」を里に迎える祭り。両親が健在の男性2人が山の神の使者「ヤモード(山人)」となり祭りをつかさどる。
 松原、矢峰両町の氏子でつくる奉賛会が毎年実施。以前は1月26日に開いていたが、伝統継承のため、より多くの人が来やすいようにと数年前から1月の第4日曜日に開くように。例年は祭りの日に全ての作業を行っていたが、人手不足解消のため、去年に続き今年も祭りの1週間前から準備に取り組んだ。奉賛会役員の宮本繁昌さん(67)は「少子高齢化が進む中、どうやって継承していくかが悩みどころであり、やりがいでもある」と話す。
 今年のヤモードには矢峰町から会社員、塩津勢康さん(41)が、松原町からは会社員、松永裕貴さん(22)が選ばれ、寒空の中、2人は神社近くの池で身を清めた。氏子らは「よいしょ!」と声をかけ合いながら稲わらを縄で巻き上げるなどして、約5時間かけ長さ8メートル、重さ300キロの大しめ縄を完成させた。その後ヤモードの2人は鳥居に登り、氏子らと力を合わせて大しめ縄を架けた。餅まきもあり、地元住民らでにぎわった。
 ヤモード2回目の塩津さんは「大切な地域行事なので今後も継続できるよう自分より若い世代につなげていきたい」、初めての松永さんは「池の水が冷たくて大変だったが、最後までちゃんと務め上げられてよかった」とそれぞれ話した。

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